こんにちは。「観葉植物の育て方ナビ」運営者のmomoです。
毎日見守ってきたお部屋のモンステラが大きく育ってくると、嬉しい反面、鉢底から根が飛び出すほどの根詰まりを見て見ぬふりをしてしまうことはありませんか。
そろそろ一回り大きな鉢の大きさへ植え替えが必要だと頭では分かっていても、いざ調べると「モンステラの植え替えで根っこは切っちゃダメ」という強い言葉が目に入り、もし根を切ることで枯らしてしまったらどうしようと、不安でハサミを入れられずにいる方も多いはずです。
でも、安心してください。実は私たちが恐れている根の処理には、残すべき命綱のような根と、整理しても問題ない根の明確なルールがあるんです。
今回は、そんな不安を抱える方のために、根を切っていいかの正しい判断基準や、万が一作業中に根が切れた時の対処法、そして植え替えのついでにできる株分けの切る位置まで、失敗しないためのコツを私の経験を交えて丁寧にお話しします。
これを読み終わる頃には、きっと「よし、やってみよう」と自信を持ってモンステラの植え替えに挑戦できるようになっているはずですよ。
- 切るべき根と残すべき根の明確な見分け方
- 根を傷めずに植え替える具体的な手順とコツ
- 株分けを成功させるための切断位置のポイント
- 植え替え後の枯れを防ぐための環境づくり
モンステラ植え替え時は根っこは切っちゃダメ?根を切ることの基礎知識

モンステラの植え替えにおいて、最も迷うのが「根の扱い」ですよね。
植物にとって根は命そのもの。
「切ったら枯れちゃうんじゃないか?」と不安になるのは当然のことです。
まずは、どのような状態になったら植え替えが必要なのか、そして私たちの目の前にあるその根は、本当に切ってはいけないものなのか、それとも切るべきものなのか、基本的な判断基準から見ていきましょう。
ここを理解するだけで、植え替えの成功率はグッと上がりますよ。
植え替えのサイン
モンステラはサトイモ科の植物で、非常に生育が旺盛です。
放っておくと鉢の中で根が回りすぎてしまい、成長が止まってしまうことがあります。
一般的に、植え替えのタイミングは植物が活発に動いている5月から9月の暖かい時期が最適です。
この時期であれば、多少根にダメージがあってもすぐに回復してくれます。
逆に、休眠期に入る寒い冬に植え替えを行ってしまうと、ダメージから回復できずにそのまま弱って枯れてしまうことがあるため、冬の植え替えは基本的にNGです。
植物からの「植え替えしてほしい!」というサインは、日々の観察で見つけることができます。以下のような症状が出ていたら、鉢の中が窮屈になっている可能性が高いですよ。
- 水やりをしても、水がなかなか土に染み込んでいかない(ウォータースペースに水が溜まる)。
- 以前より新芽の出るペースが明らかに遅くなった。
- 下葉が黄色くなって落ちることが増えた。
- 鉢のバランスが悪く、すぐに倒れてしまう。
鉢底から根が飛び出すのは根詰まりのサイン
数あるサインの中で、最も分かりやすいSOSサインは、鉢の底穴から根っこがウジャウジャと飛び出している状態です。
これは「根詰まり」と呼ばれ、鉢の中が根でパンパンになり、行き場を失った根が外に逃げ出そうとしている確固たる証拠です。
「元気な証拠だから大丈夫」と楽観視するのは少し危険かもしれません。
この状態を放置すると、鉢の中では根同士が押し合いへし合いして、酸素不足に陥っています。
根も私たちと同じように呼吸をしているため、酸素が足りなくなると窒息し、やがて組織が壊死する「根腐れ」を引き起こす原因になります。
鉢底から根が見えたら、できるだけ早めに一回り大きな鉢へ植え替えて、根っこに深呼吸させてあげましょう。
地中根と気根の違い
モンステラには、大きく分けて2種類の根があることをご存知でしょうか。
この2つの違いを知っておくと、植え替えの判断がとても楽になりますし、「どの根を切っていいのか」の迷いがなくなります。
| 根の種類 | 特徴と役割 |
|---|---|
| 地中根(ちちゅうこん) | 土の中に伸びている一般的な根です。水分や養分を吸収し、株を物理的に支える命綱です。分岐が多く、先端には「根毛」という微細な毛が生えています。 |
| 気根(きこん) | 茎の途中(節)から空中に向かって伸びる太い根です。空気中の水分を吸ったり、他の木や壁にくっついて体を支えたりします。土に入ると地中根のような働きに変化します。 |
私たちが普段「根っこは切っちゃダメ」と警戒しているのは主に地中根のことですが、モンステラの場合は気根の扱いも植え替え時の重要なポイントになります。
気根は環境に合わせて役割を変えることができる、とても器用な器官なんです。
根っこは切っちゃダメ?切っていい根の境界線

検索でよく見る「根っこは切っちゃダメ」という言葉は、半分正解で半分間違いです。正確には、「白くて硬い、元気な地中根」は絶対に切ってはいけません。
鉢から抜いた時、白くてプリプリとしたウドンのような根が見えると思います。
これはモンステラが一生懸命に水を吸い上げている最前線の器官であり、成長のエンジン部分です。
これを「鉢に入らないから」「長いから」という人間の都合でバサバサ切ってしまうと、吸水能力がガクンと落ち、直後に葉っぱが萎れたり黄色くなったりしてしまいます。
また、茶色くなっていても指で押して硬ければ、それは木質化した古い根です。
吸水能力は落ちていますが、株を支える役割があるので、邪魔でなければ残しておきましょう。

根腐れによる「黒い根」の処理方法
では、逆に「切らなければならない根」とはどんなものでしょうか?
それは、根腐れを起こしている病気の根です。
もし土を落とした時に、以下のような根を見つけたら、それは放置せずに外科手術のように取り除く必要があります。
- 色が黒や濃い茶色に変色している(健康な茶色とは違い、湿っている)。
- 指で触るとブヨブヨして柔らかい、または溶けてドロドロになっている。
- 腐ったような嫌な臭い(ドブのような臭い)がする。
- 軽く引っ張ると、ズルッと外側の皮がむけて、中の芯(糸のようなもの)だけが残る。
これらの根はすでに死んでしまっています。
これを「かわいそうだから」と残してしまうと、腐敗菌が周りの元気な白い根にまで移ってしまい、被害が拡大します。
清潔なハサミを使い、腐っている部分と健康な部分の境界線から少し健康な側で切り落とし、悪い部分を完全に取り除いてあげましょう。

植え替え時の気根処理のしかた(切るか埋めるか)
茎からニョキニョキと伸びる「気根」については、実は切っても株自体が枯れることはありません。
生活の邪魔になるようであれば根元から切ってしまっても大丈夫です。
しかし、私のおすすめは「切らずに土に埋める」という方法です。
気根を埋めるメリット
気根は土に触れると、先端から細かい根を出し始め、地中根と同じように水分や栄養を吸収し始めます。
つまり、気根を鉢の中に誘導して埋めてあげると、栄養の吸収ルートが増え、株全体がガッシリと大きく育ちやすくなるのです。
「もっと葉を大きくしたい」「切れ込みを深くしたい」という方は、ぜひ埋めてみてください。
momo以前の私は、見た目が悪いからと気根を全部切っていました。
でも、ある時「埋める」方法を試してみたら、その年展開した新芽がいきなり手のひら2つ分くらいの巨大サイズになり、切れ込みもバッチリ入ったんです。
「根っこ一本でここまで変わるの!?」と感動した経験があります。


モンステラ植え替え時は根っこは切っちゃダメ?根を切る以外の対処法


ここからは、実際に植え替えを行う際の手順や、万が一根を切ってしまった場合の対処法、そして植え替えと同時に行える株分けの方法など、実践的なテクニックをご紹介します。
「根を切らない」ための工夫と、「切ってしまった時」のリカバリー策を知っておけば、作業への恐怖心はなくなりますよ。
植え替え時の適切な鉢の大きさ
新しい鉢は、今植わっている鉢よりも「一回りから二回り(直径で3~6cm程度)大きいサイズ」を選びましょう。
例えば、今が6号鉢(直径18cm)なら、次は7号(21cm)か8号(24cm)が目安です。
ただし、「どうせ大きくなるから」といっていきなり巨大な鉢に植えるのはNGです。
植物の根に対して土の量が多すぎると、根がまだ届いていない部分の土がいつまでも乾かず、常に湿った状態(過湿)になります。
すると、根が呼吸できずに根腐れを起こしてしまうのです。「大は小を兼ねない」のが鉢選びの鉄則です。


水はけが重要!土の選び方
モンステラはジャングルの植物なので湿った環境が好きですが、ジメジメした土がずっと続くのは苦手です。
用土は「水はけ(排水性)」と「通気性」が良いものを選びましょう。
一番失敗が少なくおすすめなのは、ホームセンターなどで市販されている「観葉植物用の土」です。
最初から肥料が含まれているものも多く、手軽で安心です。
もし自分でブレンドすることに挑戦するなら、「赤玉土(小粒)7:腐葉土3」の割合が黄金比と言われています。
また、古い土の使い回しは、前の植物の老廃物や病原菌、害虫の卵が残っている可能性があるため、必ず新しい清潔な土を使ってあげてくださいね。
(参考)家庭でできる園芸用土のリサイクル方法
一度使った土は、きちんと処理をして堆肥等を補給することで、草花を植えられる土として繰り返し活用でき
るようになります。
- 土を乾かし、ふるいなどを使い根っこや石などの異物を取り除く。
※鉢底石は洗って、天日で乾かして再利用できます。 - 土を十分に湿らせ、ビニ-ル袋(黒いビニール袋が効果的です)に入れ密封する。日当たりの良い場所に置いて、1~2週間ほど蒸し焼き状態にし、殺菌・殺虫する。
- 土を乾かし、必要に応じて腐葉土や堆肥を混ぜて再生完了!
具体的な植え替え手順と切り口のケア


では、いよいよ実際に植え替えを行っていきましょう。
モンステラの植え替えは、焦らず一つひとつの工程を丁寧に行えば、決して難しいものではありません。
ここでは、失敗を防ぐための「プロのひと手間」を交えながら、具体的な手順を7つのステップで解説します。
まずは新しい鉢の準備です。鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石(軽石など)を底が見えなくなる程度(2~3cm厚)敷き詰めます。
これは排水性を確保し、根腐れを防ぐための重要な層です。
その上に、新しい土を少し入れます。
この時の土の量は、モンステラを入れた時に、株元の高さが鉢の縁より2~3cm下に来るように調整するのがポイントです。
高すぎると水やりのスペースがなくなり、低すぎると通気性が悪くなります。
モンステラを古い鉢から引き抜きます。
この時、茎だけを持って無理に引っ張るのは厳禁です。
根がパンパンに張っていると、なかなか抜けないことが多いはずです。
【抜けない時の裏技】
鉢の側面を手のひらでバンバンと叩いたり、プラスチック鉢なら横からギュッギュッと押して歪ませたりして、土と鉢の癒着を剥がします。それでもダメな場合は、鉢の縁に沿って細長い棒やナイフを差し込み、一周ぐるりと隙間を作るとスムーズに抜けますよ。
抜けたら、根鉢(根と土が固まった状態)を優しくほぐしていきます。
ここでは、古い土をすべて落とす必要はありません。
無理に土を落としすぎると、細かい根毛が切れてダメージが大きくなります。
目安としては、肩部分(上部)の古い土と、底部分で固まった土を軽く落とし、全体の1/3程度が新しい土に入れ替わるイメージで十分です。
根がガチガチにサークリング(鉢の形に回っている状態)している場合は、底の根を少し広げてあげましょう。
ここが最も重要な「判断」のステップです。露出した根をよく観察してください。
- 白い根・硬い根:絶対に切らず、そのまま温存します。
- 黒くブヨブヨした根:根腐れです。清潔なハサミで、変色部分から数ミリ健康な側を含めて切り落とします。
根を切った場合、その切り口は人間でいう「生傷」です。そこから菌が入らないよう、癒合剤(トップジンMペーストなど)を切り口に塗布してコーティングすることをおすすめします。
これを行うだけで、植え替え後の生存率が格段に上がります。
新しい鉢の中心に株を据えます。
この時、気根がある場合は、邪魔でなければ鉢の内側にクルクルと巻き込むように入れ込んでしまいましょう。
こうすることで気根が土に馴染み、将来的に地中根として機能し始めます。
また、モンステラの「顔(葉が向いている正面)」を意識して、最も見栄えが良い角度で固定します。
株の位置が決まったら、周りに新しい土を入れていきます。
手で押さえつけると土が固まりすぎてしまうので、割り箸などの棒を使い、土をザクザクとつつきながら根と根の隙間に土を行き渡らせます。
この時、土は鉢の縁ギリギリまで入れず、縁から2~3cm下のラインで止めます。
この空間を「ウォータースペース」と呼び、水やりの際に水が溜まる場所として機能します。
植え付けが終わったら、仕上げの水やりです。ここでは、ただ水をやるだけでなく「微塵(みじん)を抜く」という目的があります。
鉢底から出る水が、最初は茶色く濁っているはずです。
これが透明になるまで、たっぷりと、何度も水を与えてください。
土の中の細かい粉を洗い流すことで、土の粒と粒の間に新鮮な空気の通り道ができ、根が呼吸しやすい環境が整います。
作業中に根が切れた場合の適切な対処法
土を落としている時や、鉢から引き抜く瞬間に「ブチッ」という鈍い音がして、大切な白い根が切れてしまった…。
そんな時、頭が真っ白になってしまうかもしれません。でも、まずは深呼吸して落ち着きましょう。
どんなに熟練したプロでも、根を一本も切らずに植え替えるのは至難の業です。
結論から言うと、全体の根の量の1~2割程度切れてしまったとしても、モンステラの強靭な生命力があれば十分に回復可能です。
「やってしまった!」と焦って無理な処置をするよりも、その後の「傷口ケア」を冷静に行うことの方が重要です。
根の太さに応じて、正しいリカバリー方法を見ていきましょう。
ケース1:細い根(ヒゲ根)が切れた場合
土をほぐしている時に切れてしまう細かい根については、過度な心配は無用です。
これらは再生サイクルが早く、適切な環境に植えればすぐに新しい根が生えてきます。
特段の処置は必要ありませんが、植え替え後に菌が入らないよう、必ず「新しい清潔な土」を使うことだけは徹底してください。
古い土には雑菌が潜んでいる可能性があるため、傷口が無防備な状態の根にはリスクが高すぎます。
ケース2:太い根(主根)が折れた・切れた場合
指のような太さの根がボキッと折れてしまった場合は、少し丁寧なケアが必要です。
折れた断面がギザギザの状態だと、細胞の修復に時間がかかり、そこから腐敗菌が侵入して「根腐れ」の入り口になってしまいます。
以下の手順で外科処置を行いましょう。
- 断面を整える:消毒したよく切れるハサミやナイフで、折れた部分の少し上(健康な部分)をスパッと綺麗に切り直します。断面を滑らかにすることで、傷の治りが早くなります。
- 保護剤を塗る:切り口に植物用の癒合剤(ゆごうざい)を塗ってコーティングします。これは人間で言う「絆創膏」や「かさぶた」の役割を果たし、菌の侵入と水分の流出を防ぎます。
【癒合剤がない場合の応急処置】
もし手元に癒合剤がない場合は、切り口を清潔な状態で半日ほど日陰で乾かすのも一つの手です。
切り口が乾燥して膜(コルク層)が形成されれば、菌への防御力が上がります。湿ったまま土に埋めるのが一番のリスクです。
絶対にやってはいけないNG行動
根が切れた時に、良かれと思ってやってしまいがちな間違いがあります。それは「肥料を与えること」です。
「ごめんね、早く元気になってね」と肥料をあげるのは、傷口に塩を塗り込むような行為です。
切れた根は水分や養分を吸い上げる力が落ちているだけでなく、肥料成分の浸透圧によって体内の水分まで奪われてしまいます。
根が傷ついている時こそ、肥料は厳禁。「水だけ」または「薄めた活力剤」で静養させることが、最短の回復ルートです。
植え替え後にぐらつく株を支柱で固定する方法とコツ
植え替え作業、お疲れ様でした!でも、最後に鉢を持ち上げてみると、モンステラの株がグラグラと不安定に揺れていませんか?
植え替え直後は、まだ新しい土に根が張り巡らされていないため、いわば「更地に立っているだけ」の状態です。
特にモンステラは、大きな葉と太い茎で地上部が重く(トップヘビー)になりがちです。
このグラグラを放置しておくと、ちょっとした振動で株が動き、せっかく伸び始めた繊細な新しい根が切れてしまいます。
これでは、いつまで経っても「活着(かっちゃく=根付くこと)」しません。
植え替えの仕上げとして、支柱を使って株をしっかりと固定し、安心できる環境を作ってあげましょう。
モンステラに合う支柱の選び方
支柱といっても色々ありますが、モンステラの成長スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
- 園芸用支柱(緑の棒): 最も手軽で安価です。ホームセンターや100円ショップでも手に入ります。まずは株を安定させたい、という一時的な固定や、シンプルな見た目を好む場合に適しています。
- ココナッツ支柱(モステック): 筒状の棒にココヤシの繊維が巻かれているものです。ザラザラした表面に気根が張り付きやすく、現地で木に登る姿を再現できます。水分を含ませることで湿度維持にも役立ちます。
関連記事:モンステラ用の支柱はダイソーで買える!主な種類や活用方法を解説
失敗しない固定の手順と「8の字結び」
ただ棒に縛り付けるだけでは、逆に植物を傷つけてしまうことがあります。プロも実践する、優しくかつ強固に固定するコツをご紹介します。
- 支柱を挿す位置と深さ: 支柱は、株の「背面(茎が寝ている背中側)」に立てるのが基本です。植え替えの土を入れる段階で、鉢底まで届くように深く突き刺しておくと安定感が増します。後から挿す場合は、太い根を傷つけないよう、ゆっくりと回転させながら差し込みましょう。
- 紐の選び方: 麻紐やビニールタイ(中に針金が入っているもの)、または専用のベルクロテープなどがおすすめです。細すぎる糸や針金は、茎に食い込んで傷つけるので避けましょう。
- 「8の字」で結ぶ(最重要): 茎と支柱を直接ぎゅうぎゅうに縛ってはいけません。紐を「8の字(∞)」になるようにクロスさせて結びます。
株がガッチリと固定されれば、モンステラは安心して根を伸ばすことに集中できます。「揺れないこと」が、植え替え成功への隠れた近道なんですよ。
株分けは植え替えと同時に行う!切る位置と成功のコツ
鉢の中でモンステラが増えすぎて窮屈そうな場合や、鉢を増やしたい場合は、植え替えのタイミングで「株分け」をするのがベストです。
株分けをする際の切る位置の絶対ルールは、「それぞれの株に、必ず根っこがしっかり残る場所で分ける」ことです。
土を落として根の絡まりをほどいていくと、自然と株が分かれている部分(株元)が見つかるはずです。
もし茎が繋がっている場合は、清潔なナイフで切り分けます。


植え替え後の水やり頻度と葉水の重要性


植え替え直後は、根がダメージを受けていたり、環境の変化に戸惑っていたりして、水を吸い上げる力が一時的に弱まっています。
この時期に土が常にビショビショだと、酸欠で根腐れしやすいので、「土の表面が乾いたのを確認してからたっぷり」という基本のリズムを崩さないようにしましょう。
その代わり、積極的に行いたいのが「葉水(はみず)」です。
根からの吸水が追いつかない分、霧吹きで葉っぱに直接水をかけてあげることで、葉からの水分蒸発(蒸散)を防ぎ、乾燥から守ることができます。
植え替え後の1~2週間は、特にこまめに葉水をしてあげてください。
これは植物にとっての点滴のような効果があります。


植え替え後の活力剤活用術!肥料を与えてはいけない時期
「早く元気になってね」「早く大きくなってね」と肥料をあげたくなる気持ち、すごく分かります。
でも、ちょっと待ってください!
植え替え直後の傷ついた根にとって、栄養価の高い肥料は刺激が強すぎます。
人間で言えば、手術直後にステーキを食べるようなもので、胃もたれ(肥料焼け)を起こしてしまいます。
- 肥料(固形・液体):窒素・リン酸・カリウムを含むもの。植え替え後2週間~1ヶ月は控えるのが鉄則です。
- 活力剤(メネデール等):肥料成分を含まない、発根を助けるサプリメント。植え替え直後から使用OKです。
特に「メネデール」などの二価鉄イオンを含む活力剤は、水分や養分の吸収を高め、光合成を活発にする働きがあります。
植え替え直後の最初の水やりに混ぜて使うと、発根が促進されて回復が早まるのでおすすめですよ(出典:メネデール株式会社公式サイト)。
植え替え後に枯れるのを防ぐ管理のポイント


植え替えという大手術を終えたモンステラは、いわば「静養中(リハビリ期間)」です。
いきなり過酷な環境に置かず、以下の3つのポイントを守って、ゆっくり休ませてあげましょう。
- 直射日光を避ける:強い光は葉の蒸散を促し、吸水が追いついていない株を脱水症状にさせます。レースカーテン越しの柔らかい光、または明るい日陰で管理します。
- 風を当てすぎない:エアコンの風が直接当たる場所は厳禁です。乾燥して葉がしおれてしまいます。自然な空気が流れる、湿度が保てる場所に置きます。
- 触りすぎない:気になって何度も鉢を動かしたり触ったりすると、せっかく伸び始めた細かい根が切れてしまいます。じっと我慢してそっとしておきましょう。
植え替え時の失敗の原因と復活方法
植え替えから数日後、「あれ?なんだか元気がない…」という事態に直面すると、焦ってしまいますよね。
でも、諦めるのはまだ早いです!
植え替え直後の不調は、植物からの「環境に適応しようと頑張っている合図」であることも多いのです。
症状を冷静に見極めれば、適切なリカバリーが可能です。
まずは、今のモンステラが「水不足」なのか、それとも「水過多(根腐れ)」なのか、原因を特定することから始めましょう。
症状でわかる!SOSの原因診断
葉っぱの状態をよく観察してください。原因によって対処法は真逆になります。
| 症状 | 考えられる主な原因 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| 葉全体がダラリと垂れ下がる 葉にシワが寄っている | 【吸水不全(水切れ)】 根の吸い上げる力が、葉から出ていく水分量に追いついていない状態。 | 「保湿」 蒸発を防いで、根の負担を減らす。 |
| 下葉から黄色く変色する 茎の根元が黒ずんでいる 土がいつまでも乾かない | 【過湿(根腐れ)】 鉢内の酸素不足や、根の傷口からの菌感染。 | 「乾燥」 水を断ち、土を乾かして呼吸させる。 |
【ケース1】葉が垂れる場合の復活術「簡易温室」
植え替えで根をいじった直後は、一時的に給水ポンプの機能が落ちています。
それなのに葉っぱからはどんどん水分が蒸発していくため、体内の水分が足りずに脱水症状(しおれ)を起こしているのです。
この場合、水をジャバジャバあげるのは逆効果(根腐れの原因)です。
正解は「湿度を上げて、葉からの水分蒸発を止める」ことです。
対処法:簡易ビニールハウスを作る
- 大きめの透明なゴミ袋(45Lなど)を用意します。
- 鉢ごとモンステラ全体をすっぽりと袋で覆います。
- 袋の口を軽く閉じるか、下を開けたままにして、内部の湿度を閉じ込めます。
- 直射日光の当たらない、涼しい日陰に置きます(日が当たると袋内が高温になり「蒸し野菜」になってしまうので注意!)。
この状態で数日間様子を見てください。袋の中が高湿度に保たれることで、葉がシャキッと戻ってくることが多いですよ。



私も一度、根を切りすぎて翌日に葉っぱがダラリと垂れ下がり、「やってしまった…」と青ざめたことがあります。
でも、このゴミ袋をかぶせる方法を試したところ、3日後には嘘のようにシャキッと復活してくれました。
あの時はとても安心しました。
【ケース2】葉が黄色くなる場合の復活術「強制乾燥」
土が湿っているのに葉が黄色くなる、あるいは土から腐ったような臭いがする場合は、根腐れが疑われます。
原因は「鉢が大きすぎて土が乾かない」「傷口から菌が入った」などが考えられます。
この場合は、心を鬼にして水やりをストップしてください。
- 風通しを確保:サーキュレーターの風を(直接当てずに)部屋の空気が循環するように回し、土の乾燥を促します。
- 置き場所の改善:鉢皿に溜まった水は即捨てます。鉢底をレンガなどで持ち上げて、底穴の通気性を良くするのも有効です。
それでも葉の変色が止まらず、茎までブヨブヨと黒くなってきた場合は、残念ながら重症です。
もう一度鉢から抜き、腐った根を完全に切除して、新しい清潔な土(または水挿し)で再出発させる「再手術」の決断が必要になります。
まとめ:モンステラ植え替え時は根っこは切っちゃダメ?根を切るかどうかのポイント
モンステラの植え替えにおける「根を切るかどうかの判断」について解説してきました。
基本的には「白い元気な根っこは切っちゃダメ」ですが、腐って黒くなった根や、余分な気根は切っても大丈夫です。
今回の記事のまとめ
- 白い根は大切に残し、黒く腐った根だけを外科手術のように取り除く。
- 鉢底から根が出たら、一回り大きな鉢へ植え替えるサイン。
- 気根は土に埋めることで、株の成長を助ける強力な根になる。
- 植え替え直後は肥料を与えず、活力剤と葉水で優しくケアする。
- 株分けをする時は、必ず根が付いた状態で切り分ける。
根っこの仕組みを少し知るだけで、怖いと思っていた植え替え作業が、植物の健康を守るための前向きなケアに変わります。
根は見えない部分だからこそ、丁寧に扱ってあげることで、モンステラは必ず応えてくれます。
ぜひ、適切なタイミングと手順で、大切なモンステラをのびのびと育ててあげてくださいね。









