モンステラの葉っぱが割れない!原因と切れ込みを出す育て方のコツ

モンステラの葉っぱが割れない!原因と切れ込みを出す育て方のコツ

こんにちは。「観葉植物の育て方ナビ」運営者のmomoです。

せっかく迎えたモンステラ、元気に育っているのになぜか葉っぱが割れないと悩んでいませんか。

いつになったらあのカッコいい切れ込みが入るんだろうと不安になるお気持ち、よくわかります。

実はモンステラの葉が割れるには、株の成熟度や日当たりといったいくつかの条件が揃う必要があるのです。

この記事では、葉が割れない原因や、切れ込みを出すための具体的な育て方のコツを、私の経験も交えながら優しく解説していきますね。

この記事でわかること
  • モンステラの葉に切れ込みが入る時期や株の大きさの目安
  • 種類や品種による葉の割れ方の違いや特徴
  • 日当たりや根詰まりなど葉が割れない主な原因とチェックポイント
  • 美しい切れ込みを出すための置き場所や水やりなどの具体的なケア方法
目次

モンステラの葉っぱが割れない原因と基本知識

モンステラの葉っぱが割れない原因と基本知識

「どうしてうちの子は丸い葉っぱばかりなの?」と不思議に思いますよね。

毎日お世話をしているのに変化がないと、育て方が間違っているんじゃないかと心配になってしまうかもしれません。

でも、安心してください。モンステラの葉が割れないのには、植物ならではのちゃんとした理由があるんです。

まずは、モンステラがどのような仕組みで葉に穴を開けるのか、そして切れ込みが入らない場合に考えられる基本的な原因について、植物の生理現象という視点から一緒に見ていきましょう。

モンステラの葉っぱの切れ込み(割れ方)の仕組み

モンステラといえば、あの独特な切れ込みや穴の開いた葉っぱがトレードマークですよね。

実はこの形状、単なるデザインではなく、モンステラが厳しい自然界を生き抜くために獲得した「進化の証」だということをご存知でしょうか。

モンステラの自生地は、熱帯アメリカのジャングルです。

そこでは、モンステラは地面に根を張りつつ、大きな樹木にしがみついて上へ上へとよじ登っていく「着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)」として生きています。

ジャングルの高い木の下は、鬱蒼とした森で、太陽の光が地面まで届きにくい環境です。

モンステラは限られた日光を求めて、他の木を頼りに高い場所を目指すのです。

ここで、あの「切れ込み」が重要な役割を果たします。

もしモンステラの葉が巨大で丸いままだとどうなるでしょうか?

上の葉が大きすぎると、自分の下にある葉っぱに日光が全く当たらなくなってしまいますよね。

そこでモンステラは、葉っぱにあえて隙間(切れ込みや穴)を作ることで、上の葉の隙間から木漏れ日を下の葉まで届けようとしているという説が有力なんです。

これは、限られた光エネルギーを株全体で効率よくシェアするための、驚くべき知恵といえます。

スコールや強風への対策説も

光の確保以外にも、熱帯特有の激しい雨(スコール)や強風を受け流すためという説もあります。

巨大な葉が風をまともに受けると、抵抗が大きすぎて茎が折れたり、株ごと木から剥がれ落ちてしまう危険があります。

葉に穴が開いていることで風の通り道ができ、抵抗を減らして身を守っているとも考えられているんです。

このように、モンステラの葉が割れるのは「株が大きく成長し、自分の葉同士で光を遮らないようにするため」や「過酷な環境に耐えるため」の適応なんですね。

「カッコいいから」だけじゃなくて、植物として生きるための切実な理由があると思うと、あの一枚一枚がより愛おしく感じませんか?

逆に言えば、まだ株が小さくて葉が重なり合っていないうちは、無理に穴を開ける必要がないとも言えるのです。

モンステラの葉が割れるのはいつ頃から?

モンステラを育て始めたばかりの方、特に小さな苗から育てている方から一番多い質問が「いつから割れるの?」「何枚目の葉っぱから切れ込みが入るの?」というものです。

毎朝新芽をチェックしては、「あぁ、今回も丸い葉っぱだった…」とがっかりしてしまうこと、私もありました。

結論から言うと、生まれたての小さな苗(実生苗など)は、最初はハート型の可愛い丸い葉っぱしか出しません

これはモンステラの幼苗期の特徴で、赤ちゃん時代は光合成の効率を優先して、葉の面積を最大化するために切れ込みが入らないのです。

では、いつ頃から変化が現れるのでしょうか。

私の栽培経験や一般的な傾向を見ると、以下のような段階を経て大人の葉へと変化していきます。

葉が割れるまでの成長ステップ
  • ステップ1(幼苗期): 葉っぱの枚数が1枚〜4枚目くらいまでは、小さくて丸いハート型の葉が続きます。切れ込みは全くありません。
  • ステップ2(移行期): 葉っぱの枚数が5枚〜6枚目を超えたあたりから、葉の片側だけに浅い切れ込みが1つ入ったり、左右非対称な形になり始めます。
  • ステップ3(若木期): 株全体の背丈が30cm〜50cmを超え、茎が親指くらいの太さになってくると、左右にバランスよく切れ込みが入るようになります。
  • ステップ4(成木期): さらに大きく育ち、茎が太く木質化してくると、切れ込みだけでなく、葉の中央付近に「穴」が開き始めます。ここまでくれば立派な大人の株です。

ただし、これはあくまで目安です。育てている環境(特に光量)や個体差によって大きく異なります。

早い株だと4枚目くらいから割れ始めることもありますし、環境が整わなければ10枚出しても丸いままということもあります。

焦らずに、「今はまだ子供なんだな、これからどんな風に大人になっていくのかな」と温かく見守ってあげてくださいね。

momo

実は私もモンステラを育て始めた頃、新しい葉っぱのドリル(新芽が巻かれている状態)が出てくるたびに、「今度こそは割れてるはず!」と毎朝出勤前に祈るような気持ちで覗き込んでいました。

でも、開いてみたらツルッとした丸い葉っぱで…。「なんでうちの子だけ?」と、出社する足取りが重くなったのを今でも覚えています(笑)。

モンステラには葉が割れない品種も存在する

モンステラには葉が割れない品種も存在する

「もう何年も育てていて、背丈も1メートルを超えているのに、全然葉っぱが割れないし穴も開かない…」という場合、もしかすると育て方以前に「品種」の違いが関係しているかもしれません。

私たちが普段園芸店やホームセンターで「モンステラ」として見かける植物には、大きく分けて2つの種類が混在しています。

それが「モンステラ・デリシオーサ」「モンステラ・ボルシギアナ」です。

見た目はそっくりですが、成長の仕方や葉の割れやすさに少し違いがあるんです。

デリシオーサ(Monstera deliciosa)の特徴

皆さんがイメージするモンステラはこのデリシオーサでしょう。

成長すると葉が非常に大きくなり(1メートル近くになることも!)、深い切れ込みとたくさんの穴が開く、ダイナミックな姿になります。

茎の節と節の間(節間)が詰まっていて、どっしりとした印象です。

見分け方のポイントは、葉の付け根(葉柄)と葉がつながっている部分にある「シワ(フリル)」です。成熟したデリシオーサには、この部分に波打つようなフリルが入ります。

ボルシギアナ(Monstera borsigiana)の特徴

デリシオーサに比べて葉がやや小ぶりで、茎がつる状に長く伸びやすいタイプです。

成長スピードが早く、インテリアとして扱いやすいため広く流通しています。

しかし、デリシオーサに比べると、葉の切れ込みが浅かったり、穴が開きにくかったりする傾向があります。

ボルシギアナの葉柄の付け根には、デリシオーサのようなフリルがなく、ツルッとしています。もしお持ちのモンステラが、茎ばかりひょろひょろ伸びて葉があまり割れない場合は、ボルシギアナタイプかもしれません。

また、そもそもモンステラではない植物(例えば「マドカズラ」など)をモンステラだと思って育てているケースも稀にあります。

マドカズラは葉に穴は開きますが、葉の縁が切れることはありません。

まずは自分の愛株がどのタイプなのか、じっくり観察してみるのも植物と仲良くなる第一歩ですよ。

葉っぱに切れ込みが入らない(葉が割れない)原因

品種も問題なく、ある程度大きさもあるのに葉が割れない場合、やはり「育てている環境」に何らかの原因がある可能性が高いです。

モンステラはとても正直な植物なので、居心地が悪いとすぐに葉の形や色でサインを出してくれます。

「葉が割れない」というのは、モンステラからの「今はまだ大人の立派な葉っぱを出す余裕がないよ!」「生きるのに必死だよ!」というメッセージかもしれません。

切れ込みのある大きな葉を維持するには、それなりのエネルギーと体力が必要です。

その体力が不足している原因を取り除いてあげれば、必ずまたカッコいい葉を出してくれるようになります。

主な原因としては、以下の3大要素が挙げられます。

  • 日照不足: 光合成が足りていない。
  • 根詰まり: 根っこがパンパンで呼吸できない。
  • 栄養不足: 葉を作る材料が足りない。

特に日本の住宅事情では、室内で育てているとどうしても光が足りなくなりがちです。

次の項目から、それぞれの詳しい理由とメカニズムについて、深掘りして解説していきますね。

日当たり不足で葉の切れ込みが消える理由

モンステラの葉が割れない原因のナンバーワン、それが「日当たり不足」です。

先ほどお話しした通り、モンステラの切れ込みは「下の葉に光を届けるため」にあります。

逆に言うと、光が十分に足りていない暗い場所にいると、モンステラは「隙間を作っている場合じゃない!葉っぱの面積を広げて、少しでも多くの光を浴びなきゃ!」と判断してしまうのです。

その結果、本来なら割れるはずの大きさの葉であっても、切れ込みのない丸い葉(全縁葉)に戻ってしまう現象が起きます。

これを「先祖返り」のように感じる方もいるかもしれませんが、植物にとっては光を求めて必死に環境に適応しようとしている生理現象なんですね。

こんな置き場所は要注意!
  • 窓から2〜3メートル離れた部屋の隅
  • 北向きの部屋で、常に薄暗い場所
  • 一日中遮光カーテンを閉め切っている部屋
  • テレビの裏や家具の陰など

「耐陰性(日陰に耐える力)」があると言われるモンステラですが、それは「暗い場所でも枯れない」という意味であって、「暗い場所でも元気に育つ」という意味ではありません。

美しい切れ込みのある葉を出させるには、やはり十分な光量が必要不可欠です。

もし、新しく出てきた葉っぱが以前よりも小さかったり、切れ込みがなくなっていたりしたら、まずは置き場所を疑ってみてください。

momo

ここだけの話、私も以前は「テレビの横にモンステラがあったらカフェみたいで素敵!」と思って、少し薄暗いテレビボードの横に置いていたんです。

でも、そこから出てくる葉っぱは全部、切れ込みのない小さなものばかりでした。

「これじゃダメだ」と観念して窓際に移動させた途端、次の葉っぱから見事な穴あき葉が出てきて、「やっぱり太陽の力ってすごい…!」とモンステラに教えられた気がしました。

根詰まりが原因で成長が止まっていないか

モンステラ 根詰まりが原因で成長が止まっていないか

日当たりは抜群なのに葉が割れない…という時にチェックしてほしいのが「鉢の中」です。

見えない部分なので見落としがちですが、根詰まりはモンステラの成長を強力にブロックしてしまいます。

モンステラは成長が非常に早い植物です。

買ってきたままの鉢で2年も育てていれば、鉢の中は根っこでパンパンになっているはずです。

根が詰まるとどうなるでしょうか?

  1. 新しい根を伸ばすスペースがなくなる。
  2. 水やりの水を吸い上げる速度が落ちる。
  3. 土の中の酸素が不足して、根が呼吸できなくなる。
  4. 結果、株全体の代謝が落ち、新しい葉を作るエネルギーが枯渇する。

このような状態になると、モンステラは「これ以上大きくなったら維持できない!」と判断し、成長をセーブし始めます。

その結果、新芽が出ても小さかったり、切れ込みのない省エネモードの葉っぱしか出せなくなってしまうのです。

根詰まりのセルフチェック
  • 鉢の底穴から根っこがはみ出している。
  • 水やりをしても、水がなかなか土に染み込んでいかない。
  • 以前より水切れしやすくなった(すぐに葉が垂れる)。
  • 鉢を持ち上げると、株と土が一体化してスポッと抜けそうになる。

もしこれらに当てはまるなら、一回り大きな鉢に植え替えてあげるだけで、嘘のように元気な割れた葉が出てくることがありますよ。

詳しくは、モンステラの植え替え方法を解説した記事も参考にしてみてくださいね。

剪定したばかりの株は穴が開きにくい

これは意外と知られていないのですが、伸びすぎた茎をカット(剪定)して仕立て直した後や、茎伏せで増やしたばかりの株は、一時的に葉の形が幼い状態に戻ることがよくあります。

植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」といって、茎の先端の芽(頂芽)を優先的に成長させる性質があります。

剪定によってこの先端部分が切り取られると、植物は脇芽(わきめ)を出して成長を再開させようとします。

しかし、この脇芽から出る最初の1〜2枚目の葉っぱは、株自体がまだ新しい成長体制を整えている最中であるため、切れ込みのない小さな葉になることが非常に多いのです。

「剪定したら、せっかくの割れた葉が出なくなっちゃった!失敗したのかな?」と不安になる必要はありません。

これはリセットされた後の「助走期間」のようなものです。

株がしっかりと根を張り、光合成をしてエネルギーを蓄えていけば、2枚目、3枚目と葉が出るにつれて、再び立派な切れ込みが入るようになります。

焦らずに、復活の過程を楽しんであげてください。

momo

私も初めて茎伏せ(茎を土に埋めて増やす方法)に挑戦した時、やっと出てきた可愛い新芽が完全に丸い葉っぱで、「あんなに立派な親株から取ったのに、なんで!?」とすごく焦りました。

でも、そのまま育てていたら、3枚目の葉っぱから急にカッコいい切れ込みが入ったんです。

あの時の「おかえり!」という感動は忘れられません。

だから、1〜2枚目が丸くても絶対に諦めないでくださいね。

モンステラの葉っぱが割れない時の対処とケア

モンステラの葉っぱが割れない時の対処とケア

原因がわかってきたところで、次はどうすればあの美しい切れ込みを出せるのか、具体的な対処法と日々のケアについてお話ししますね。

「ただ待つ」だけではなく、こちらからアプローチしてあげることで、モンステラの表情はガラッと変わりますよ。

モンステラの葉が割れるまでに行うべきケア

基本の考え方は「モンステラを大人に育てる」ことです。

葉が割れないのは、まだその準備ができていないか、大人の体を維持する体力がないからです。

焦って肥料を大量にあげたり、毎日場所を変えたりといじりすぎるのは逆効果。

まずは、モンステラが「ここは安心して大きくなれる場所だな」と感じられる環境を整えるのが第一歩です。

具体的には、以下の3つのステップを意識してみてください。

  1. 環境の固定: 明るく風通しの良い場所(定位置)を決めたら、コロコロ場所を変えないこと。植物は環境の変化に敏感で、適応するのにエネルギーを使います。
  2. 基礎体力の向上: 適切な水やりと日照で、光合成を最大化させること。
  3. 補助資材の活用: 必要であれば支柱などで成長をサポートすること。

健全に成長し、茎が太く、節間が詰まったガッシリした株になれば、自然と葉は割れてきます。

人間で言えば、しっかり食べて、よく寝て、運動して体を大きくするようなイメージですね。

支柱を立てて葉を大きくする環境作り

モンステラの葉を大きくし、切れ込みをバッチリ入れたいなら、「支柱(しちゅう)」を立てることを強くおすすめします。

これは単に倒れないようにするためだけではありません。

実は、モンステラには「何かにしがみついて上に登っていると認識すると、葉が巨大化し成熟が早まる」という性質があるんです。

自生地の姿を思い出してみてください。高い木にしがみついているモンステラの葉は巨大で穴だらけですが、地面を這っている茎(ランナー)から出る葉は、小さくて切れ込みがないことが多いです。

つまり、縦方向への成長をサポートしてあげることで、「今は登っている最中だ!大人の葉を出そう!」というスイッチを入れてあげることができるんです。

支柱の種類 特徴とおすすめ度
ココヤシ支柱 一般的で入手しやすい。見た目もナチュラルで、気根が絡みつきやすい表面構造をしているため、モンステラに最適。おすすめ度:★★★★★
ヘゴ支柱 天然のシダ植物の幹を使ったもの。保水性が高く気根が食い込みやすいが、近年は希少で高価。手に入るなら最高。おすすめ度:★★★★☆
プラ支柱・園芸棒 つるっとした表面のため、気根が張り付かない。茎を紐で縛って固定するだけになるため、成長促進効果はやや薄い。おすすめ度:★★☆☆☆

気根(茎から出る根っこ)を支柱の方へ誘引し、しがみつかせるように育ててみてください。

横にだらんと広がってしまうのを防ぐだけでなく、株の風格も一気に上がりますよ。

徒長を防ぎしっかりした茎を作る方法

茎がヒョロヒョロと細長く伸びて、葉と葉の間隔(節間)が間延びしてしまっている状態を「徒長(とちょう)」と呼びます。

徒長した茎は、もやしのように弱々しく、大きな切れ込みのある重い葉を物理的に支えることができません。

徒長の最大の原因は、やはり日照不足です。しっかりした太い茎を作るには、レースのカーテン越しの日光が長時間当たる、明るい窓辺に移動させてあげてください。

もし今、すでに徒長してしまっている場合は、思い切って茎をカット(切り戻し)して、良い環境で仕立て直すのも一つの手です。

春から秋の成長期には、ガラス越しの日光をたっぷりと浴びせ、しっかりと光合成をさせることが、割れた葉を出すための最短ルートです。

ただし、真夏の直射日光だけは葉焼けの原因になるので避けてくださいね。

適切な水やりで葉の水分量を維持する

モンステラ 適切な水やりで葉の水分量を維持する

水やりは「土が乾いたらたっぷりと」が鉄則ですが、この「たっぷりと」には深い意味があります。

単に土を湿らせるだけでなく、鉢の中の古い空気を押し出し、新鮮な酸素を含んだ水に入れ替えるという役割があるんです。

常に土がジメジメ湿っていると根腐れの原因になりますが、逆に「乾かし気味に」を意識しすぎて水切れを繰り返すと、葉の水分量が低下し、成長が止まってしまいます。

特に新しい葉を作ろうとしている時期に水が足りないと、葉が展開する途中で傷ついたり、小さくなってしまったりします。

土の表面が乾いているのを指で触って確認したら、鉢底から水がジャーージャー出るくらい、惜しみなく与えてください。

そして、受け皿に溜まった水は必ず捨てること。このメリハリのある水やりが、太い根を育て、葉の隅々まで水分と栄養を行き渡らせるコツです。

肥料と活力剤を適切に使って元気に育てる

基本の水やりと日当たりが整ったら、プラスアルファの栄養補給です。

モンステラは体を大きくするために多くの栄養を必要とします。肥料が不足すると、葉の色が薄くなったり、葉が小さくなったりします。

成長期(5月〜10月頃)には、観葉植物用の固形肥料(緩効性肥料)を鉢の大きさに合わせて規定量置いてあげましょう。

これは人間で言うところの「主食」です。それに加えて、即効性のある液体肥料を10日〜2週間に1回程度、水やりの代わりに与えると効果的です。

活力剤と肥料の違い
ホームセンターでよく見るアンプル型の刺すタイプなどは「活力剤」であることが多いです。活力剤はあくまで「サプリメント」のようなもので、肥料成分(チッソ・リン酸・カリ)はほとんど含まれていません。

元気が無い時の補助としては優秀ですが、体を大きくするなら、まずは基本の「肥料」をしっかりあげることが大切です。

ただし、冬場などの成長が緩慢な時期に肥料をあげると、根が肥料焼けを起こして逆効果になるので、冬は肥料をストップして水だけで管理してくださいね。

モンステラが元気がないサインは?

モンステラが元気がないサインは?

葉が割れない以前に、モンステラ自体がSOSを出していることもあります。

「なんだか元気がないな?」と感じたら、以下のサインが出ていないかチェックしてみてください。

これらの症状がある場合は、切れ込みを出すことよりも、まずは株の健康を取り戻す治療を優先してあげましょう。

サイン 考えられる原因と対策
葉が黄色くなる 最も危険なサインです。下の葉から黄色くなるなら「根詰まり」か「根腐れ」の可能性大。土が湿ったまま乾かないなら根腐れです。水やりを控えて乾燥させるか、植え替えが必要です。
葉がだらんと垂れる 水が吸えていません。「水切れ」か、逆に根が傷んで水を吸えない状態です。寒さで株が弱っている場合もあります。暖かい部屋に移動してみましょう。
茎が細く長い 典型的な「日照不足(徒長)」です。このままでは大きな葉は出ません。もっと明るい場所に移動させてください。
葉の色が薄い・白っぽい 「肥料不足」か「日光不足」です。また、ハダニなどの害虫がついている可能性もあるので、葉の裏側をよく観察してみてください。

葉が丸まる時の解決策

葉っぱがくるんと内側に丸まってしまうことがありますが、これは主に植物が「体内の水分蒸発を防ごうとしている」防御反応です。原因は主に「水分不足」か「空気の乾燥」です。

土がカラカラに乾いていれば、すぐに水をたっぷりあげてください。

もし土は湿っているのに丸まる場合は、根がダメージを受けて吸水できていない可能性があります。

また、冬場の暖房がついた部屋など、空気が極端に乾燥している場合も葉が丸まります。

エアコンの風が直接当たっていないか確認し、風が当たらない場所に移動させましょう。

乾燥対策には、次に紹介する「葉水」が非常に効果的です。

モンステラの葉っぱを増やすための環境

葉の枚数が増えるということは、モンステラにとって「経験値」が貯まっていくようなものです。

葉っぱ一枚一枚がエネルギー工場となり、株全体が成熟することで、ようやくあの憧れの「割れた葉」が出現する確率がグンと上がります。

では、どうすれば効率よく新しい葉を増やせるのでしょうか?私の経験上、鍵を握っているのは「温度によるスイッチ」と「季節に合わせたメリハリ」です。

ただなんとなく置いておくだけでは、モンステラの成長スイッチはなかなかオンになりません。

1. 新芽が出る「15度の壁」を理解する

モンステラは熱帯生まれの植物なので、暖かさが大好きです。

具体的には、気温が15度〜20度を上回ると、活発に新芽を出す成長モードに入ります。

逆に言うと、この温度を下回ると、枯れはしませんが成長がピタリと止まる「休眠(きゅうみん)」の状態になります。

日本の冬はモンステラにとって、想像以上に過酷です。

日本の冬とモンステラ

気象庁の統計データによると、例えば2024年冬(2024年12月~2025年2月)において東京の平均日最低気温は1.9℃~3.8℃、大阪でも2.1℃~5.6℃となっており、モンステラが元気に成長するために必要な15度には遠く及びません。

そのため、日本の冬の間は「葉を増やす」ことよりも「枯らさずに耐える」ことが最優先になります。

冬の間は葉が増えなくても焦らないでください。その分、春になって暖かくなった瞬間に、溜め込んだエネルギーを爆発させるように一気に葉を展開し始めます。

2. 「成長期(5月〜10月)」を逃さない!

葉っぱを増やす最大のチャンスは、気温が安定して高い5月から10月の間です。

この「ゴールデンタイム」にいかに光合成をさせて、水と栄養を吸わせるかが勝負です。

春から秋にかけては、可能であればレースのカーテン越しの日光が当たる、風通しの良い窓辺に置いてあげてください。

もしベランダなどの屋外に出せる環境なら、真夏の直射日光と虫にさえ気をつければ、屋外の方が圧倒的に早く育ちます。

「この半年間で勝負が決まる!」という気持ちで、愛情を注いであげましょう。

3. 意外と重要な「風の流れ」

温度と光に加えて、葉を増やすために忘れてはいけないのが「風」です。

植物は風を受けることで気孔(きこう)を開閉し、蒸散を活発に行います。人間で言うと深呼吸をして代謝を上げている状態ですね。

室内で空気がよどんでいると、どんなに日当たりが良くても代謝が落ちてしまい、新芽を作るエネルギーが湧いてきません。

窓を開けて自然の風を通したり、サーキュレーターを使って部屋の空気を優しく循環させてあげるだけでも、成長スピードが変わりますよ。

モンステラの葉っぱ一枚だけの状態から増やすことは可能?

友人からモンステラの葉をもらったり、うっかり折れてしまった葉っぱを見て、「この一枚を水に挿しておいたら増えますか?」という質問をみかけることがよくあります。

水に挿しておくと、切り口から根っこが出てくることがあるので期待してしまいますよね。

しかし、残念ながら葉っぱと葉柄(茎のような部分)だけの状態では、根っこは出ても、新しい芽(次の葉っぱ)が出ることはありません。

植物が増えるためには「成長点(せいちょうてん)」という細胞分裂が活発な組織が必要です。

モンステラの場合、成長点は「茎の節(ふし)」の部分にあります。

葉っぱの軸には成長点が含まれていないため、そこから新しい個体になることはできないのです。

もしモンステラを増やしたい場合は、葉っぱ一枚ではなく、必ず「茎の節」を含んだ状態でカットして(これを「茎挿し」や「挿し木」と言います)、水差しや土に植えてあげてくださいね。

まとめ:モンステラの葉っぱが割れないなら

モンステラの葉っぱが割れない理由と対策について、詳しくお話ししてきました。

最後に、今日からできる大切なポイントを振り返ってみましょう。

  • まだ株が子供かも?:葉の枚数が5〜6枚以下のうちは丸い葉が普通です。成長を楽しみに待ちましょう。
  • 日当たりは十分?:暗い場所だと切れ込みが消えてしまいます。レースカーテン越しの明るい窓辺が特等席です。
  • 株を成熟させよう:支柱を立てて「登る」環境を作ったり、適切な肥料で「大人」に育てましょう。根詰まりチェックも忘れずに。
  • 気長に待つのも大事:環境を整えれば、植物は必ず応えてくれます。焦らず見守る姿勢が、一番の肥料かもしれません。

毎日見ていると「変化がないなぁ」と思うこともありますが、モンステラはゆっくりと、でも確実に成長しています。

焦らず愛情を持ってお世話を続ければ、ある日突然、くるくると巻かれた新しい葉の中に、美しい切れ込みを見つける日が必ず来ます。

その時の「やったー!」という感動は、育てている人にしか味わえない特別なご褒美ですよ!ぜひ、その日を楽しみにしながら、モンステラとの暮らしを楽しんでくださいね。

momo
「観葉植物の育て方ナビ」運営者
これまでに20種類以上の観葉植物を栽培してきた経験から、初心者の方へ「育て方」「インテリアグリーンの活用方法」などをわかりやすく情報発信しています。普段はOLをしている20代後半の社会人。
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