こんにちは!「観葉植物の育て方ナビ」運営者のmomoです。
お部屋に飾ったモンステラ、気づけば葉っぱが大きく広がって、鉢が窮屈そうになっていませんか?
「そろそろ株分けをしてスッキリさせたいな」と思いつつも、「もし時期を間違えて枯らしてしまったらどうしよう…」と不安でなかなか手が出せない、そんな経験私にもあります。
モンステラはとても丈夫な植物ですが、実は「株分け」という外科手術のような作業には、絶対に守るべき「命のタイミング」があるんです。
このタイミングさえ外さなければ、初心者の方でも驚くほどスムーズに成功させることができますし、逆にここを間違えてしまうと、どんなに丁寧に作業しても失敗してしまうリスクが高まります。
今回は、私の失敗談や経験も踏まえつつ、モンステラの株分けにベストな時期や、具体的な手順、そして冬場の管理について、詳しくお話ししていきたいと思います。
- モンステラの株分けや植え替えに最適な「5月〜7月」と「9月〜10月」の具体的な理由
- 失敗を未然に防ぐための、成長を助ける土の配合レシピや鉢の選び方
- 水栽培(水差し)や挿し木など、ライフスタイルに合わせた増やし方の比較
- 冬に元気がない場合や根腐れが疑われる時の、緊急対処法と正しい管理方法
モンステラの株分け時期と最適なタイミング

モンステラを長く元気に育て続けるためには、私たち人間が季節に合わせて服を着替えるように、植物の「ライフサイクル」に合わせたお手入れをしてあげることが何よりも大切です。
まずは、株分けという植物にとって負担の大きい作業を行うのに、最も適したシーズンはいつなのか、そして逆に絶対に避けるべき危険な時期はいつなのか、その理由とともに詳しく見ていきましょう。
植え替えや株分けの時期はいつが最適か
結論からズバリ言いますと、モンステラの株分けに最も適しているゴールデンタイムは、「5月中旬から7月中旬」、そして「9月中旬から10月上旬」の2回です。
なぜこの時期なのかというと、モンステラの原産地である熱帯アメリカの環境と、日本の気候が深く関係しています。
モンステラが最も活発に細胞分裂を行い、ぐんぐん成長する気温(生育適温)は20℃〜30℃と言われています。日本の春、桜が散ってゴールデンウィークが過ぎた頃になると、最低気温が安定して15℃を上回るようになりますよね。
この「暖かくなってきたな」と感じるタイミングこそが、モンステラが「よし、成長するぞ!」とスイッチを入れる合図なんです。
特に5月中旬から7月にかけては、梅雨時期を含みます。
私たちにとってはジメジメして不快な時期かもしれませんが、モンステラのような熱帯植物にとっては、まさに天国のような環境です。
株分け直後の植物は、根が切断されて水を吸い上げる力が一時的に落ちていますが、空気中の湿度が高いことで葉っぱからの水分の蒸発(蒸散)が自然に抑えられ、体力を温存しながら回復に専念できるんです。
また、真夏の猛暑が落ち着いた9月中旬頃も、「秋の成長期」として適しています。
ただし、秋に行う場合は冬までの「残り時間」に注意が必要です。寒くなるまでにしっかりと新しい根を張らせる(活着させる)必要があるので、10月に入ったらできるだけ早めに作業を終わらせるのが鉄則です。
- 最低気温が15℃以上の日が続いていること
- モンステラから新しい葉っぱ(ドリル)が出てきていること
- お部屋の環境で、人間が「半袖で過ごせるかな」と感じる気温であること
ヒメモンステラの株分け時期と注意点
モンステラよりも葉が小さく、日本の住宅事情にもマッチして大人気の「ヒメモンステラ(ラフィドフォラ・テトラスペルマ)」。
この子も基本的にはモンステラの仲間と同じく、5月から9月頃が株分けの適期となります。
ただし、ヒメモンステラは通常のモンステラ(デリシオーサなど)に比べて茎が細く、葉も薄いため、環境の変化や乾燥に対して少しデリケートな一面を持っています。
そのため、私が育てていて感じるのは、「真夏の作業は避けたほうが無難」だということです。
7月下旬から8月の猛暑日に株分けをしてしまうと、強い日差しと高温で一気に水分が奪われ、切り口から回復する前にしおれてしまうリスクが高まります。
ヒメモンステラを株分けするなら、やはり一番のおすすめは湿度が高い「梅雨入り前後」です。
また、つるが長く伸びやすい性質があるので、株分けのついでに長すぎるつるをカットして、全体のバランスを整えてあげると、その後の成長がとても綺麗になりますよ。
他の増やし方と適期を比較
「モンステラを増やしたい!」と思ったとき、実は株分け以外にもいくつか方法があるのをご存知ですか?
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、適した時期も少しずつ違います。自分のライフスタイルや、「どんなふうに増やしたいか」に合わせて選んでみてください。
| 増やし方 | 難易度 | 最適な時期 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 株分け | 中 | 5月〜7月 9月〜10月 |
今ある株をリサイズしたい人 根がついた状態で分けるため、失敗が少なく、すぐに観葉植物として楽しめます。 |
| 水挿し(水差し) | 低 | 5月〜9月 | 手軽に増やしたい初心者向け 土を使わず、コップや花瓶で始められます。根が出る様子が見えるのでワクワクしますよ。 |
| 茎伏せ | 高 | 5月〜7月 | 大量に増やしたい上級者向け 葉のない茎を土や水苔に寝かせて発芽させます。時間はかかりますが、ポコポコと芽が出る感動があります。 |
| 挿し木(土) | 中 | 5月〜7月 | しっかりした苗を作りたい人 最初から土に植えるので、根付いた後の成長がスムーズです。水管理が少しシビアです。 |
どの方法を選ぶにしても、共通しているのは「暖かい時期に行う」ということです。
植物の体力が満タンの時に行うのが、成功への一番の近道ですね。
時期を誤ると枯れるリスクがある

「仕事が忙しくて時期を逃しちゃったけど、11月に入ってからでも大丈夫かな?」「暖房をつけているから真冬でも平気じゃない?」…そんなふうに思うこともありますよね。
でも、ここだけは心を鬼にしてお伝えしたいのですが、不適期の株分けは、植物にとって命取りになる可能性が非常に高いです。
植物は、根から吸い上げた水分と、葉で光合成して作った養分を使って生きています。
株分けという作業は、一時的とはいえ、その根を断ち切る行為です。
適期であれば、モンステラ自身の「回復力」が勝り、すぐに新しい根を出して傷を修復できます。
しかし、気温が低い時期や、植物が弱っている時期にこれを行うと、回復スイッチが入らないまま、傷口から体液が流出し続けたり、細菌に対する防御力がなくなったりしてしまいます。
結果として、葉っぱがダランと垂れ下がって元に戻らなくなったり、葉の色が黒ずんで落ちてしまったり、最悪の場合は株全体が腐って枯死してしまいます。
momo私が以前、どうしても待ちきれずに11月に植え替えをしてしまった時のことです。
翌朝起きてモンステラを見たら、昨日までピンと上を向いていた葉っぱが、ぐったりと垂れ下がっていたんです…。
あの時の「やってしまった!」という血の気が引くような感覚と、申し訳なさはずっと忘れられません。
皆さんの大切なモンステラには、あんな辛い思いをさせてほしくないので…。
冬の作業は根腐れを引き起こす
先ほど「冬はダメ」とお伝えしましたが、具体的に冬の作業がなぜ危険なのか、もう少し掘り下げて「根腐れ」のメカニズムから解説します。
冬の間、日本の室内で育てられているモンステラは、見た目は変わらなくても、内部の活動はほぼストップしている「休眠状態」にあります。
この時、根っこは水を吸うポンプの活動を最小限にして、じっと寒さに耐えています。
もしこの状態で株分けをして、大きな鉢に新しい土を入れて植え替えたとしましょう。
新しい土はたっぷりと水を含みますが、休眠中の根っこはその水を吸い上げることができません。
すると、鉢の中はずっと湿ったままの状態(過湿状態)が続きます。
土の中が常に水浸しだと、根っこが呼吸できずに窒息してしまい、そこから腐敗菌が繁殖して「根腐れ」があっという間に進行してしまうのです。
冬の寒さだけでもストレスなのに、足元が冷たい水でずっと濡れていたら、風邪を引いてしまいますよね。植物も同じです。
冬の間は、根をいじらず、水やりも控えめにして、「そっとしておく」ことが最高のお世話になります。
冬にやってはいけないNG行動リスト
- 根についた土を無理やり落とす(根毛が剥がれて大ダメージ!)
- 活力剤や肥料を与える(消化不良を起こして根が焼けます)
- 冷たい水道水をそのままあげる(室温に近い汲み置き水を使いましょう)
- 窓際の冷気が当たる場所に置く(夜間は部屋の中央へ移動!)
株分けで失敗しないための重要ポイント
モンステラの株分けを成功させるための秘訣は、手術(作業)そのものよりも、実は「術後のケア」にあります。
これを「養生(ようじょう)」と言います。
株分け直後のモンステラは、人間で言うと大きな手術を終えて退院したばかりの状態です。
そんな時に、直射日光がガンガン当たる場所に置いたり、栄養をつけさせようと肥料たっぷりのお水を与えたりするのは禁物です。
消化の良いおかゆを食べて静かに過ごすように、植物にも休息期間が必要です。
具体的には、作業後2週間から1ヶ月程度は、以下の環境を守ってあげてください。
- 置き場所:直射日光の当たらない、明るい日陰(レースのカーテン越しよりも少し内側)。
- 風通し:空気が淀まないよう、風通しの良い場所に置く(エアコンの風が直撃するのはNG)。
- 水やり:土の表面が乾いたらあげる。その代わり、葉っぱには毎日霧吹きで「葉水(はみず)」をして、湿度を保ってあげる。
- 肥料:絶対に与えない。新芽が動き出すまでは水だけでOK。
この「養生期間」をしっかりと取ることで、切断された根の断面が修復され、新しい根が伸び始めます。新しい葉っぱ(ドリル)が展開し始めたら、「もう大丈夫だよ!」というサイン。
そこから通常の管理に戻していきましょう。
モンステラの株分け時期に行う手順と方法


さあ、最適な時期と心構えがバッチリできたら、いよいよ実践編です!
「難しそう…」と身構えなくて大丈夫。道具をしっかり準備して、手順通りに進めれば、誰でもパズルを解くように楽しく作業できますよ。
ここでは、失敗しないための道具選びから、プロも実践している土の配合、そして具体的なカットの方法まで、手取り足取り解説していきます。
作業前に揃えたい道具のリスト
作業を始めてから「あれがない!」と慌てると、根っこを空気中に晒す時間が長くなり、植物に負担をかけてしまいます。
まずは以下の道具をチェックして、手元に揃えておきましょう。
1. 剪定バサミ(必須)
普通の工作用ハサミではなく、園芸用の剪定バサミを用意しましょう。
モンステラの茎は意外と硬く繊維質です。切れ味の悪いハサミで押し潰すように切ると、組織が壊れてそこから腐りやすくなります。
使う前には、ライターの火で炙るかアルコール消毒液で拭いて、必ず殺菌してくださいね。
2. 新しい鉢(必須)
株分けした後のモンステラを植える鉢です。
デザインはお好みでOKですが、底に穴が空いていない「鉢カバー」に直接植えるのはNG。必ず底穴のある鉢を選びましょう。
3. 鉢底ネット・鉢底石(必須)
水はけを確保し、ナメクジなどの害虫が侵入するのを防ぐために必要です。100円ショップのもので十分です。
4. 観葉植物用の土(必須)
詳しくは後述しますが、水はけの良い土を用意します。
5. 割り箸や細い棒
植え付けた後、土を根の隙間に詰め込むときに使います。これがあるとないとでは、仕上がりの安定感が全然違います。
6. 手袋(重要!)
ここ、テストに出るくらい重要です!モンステラの樹液には「シュウ酸カルシウム」という成分が含まれていて、皮膚につくとチクチクしたり、かぶれたりすることがあります。
必ずゴム手袋をして作業しましょう。もし樹液がついたら、すぐに流水で洗い流してくださいね(出典:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」)。
7. 新聞紙やブルーシート
室内で作業する場合は必須。土がこぼれてもサッと片付けられます。
植え替えに適した「鉢」の選び方
「どんな鉢を選べばいいの?」という悩みを持つ方もいると思います。
おしゃれな陶器鉢、軽いプラスチック鉢、通気性の良い素焼き鉢…いろいろありますが、初心者の方に一番おすすめなのは、管理のしやすさで言うと「スリット鉢(プラスチック製でスリットが入っているもの)」か、通気性抜群の「素焼き鉢(テラコッタ)」です。
そして最も重要なのが「サイズ」です。基本的には、元の鉢よりも「一回り大きいサイズ(直径が3cm〜6cmアップ)」を選びます(これを「鉢増し」と言います)。
例えば、今が6号鉢(直径18cm)なら、次は7号(21cm)か8号(24cm)を選びます。
ただし、株分けをして株自体のボリュームが小さくなった場合は、逆に「鉢のサイズを下げる(サイズダウン)」必要があります。
「大は小を兼ねる」と言いますが、植物の鉢に関してはこれは当てはまりません。
根っこの量に対して鉢が大きすぎると、土の量が多すぎて水がいつまでも乾かず、根腐れ一直線になってしまいます。
「根っこが窮屈すぎず、スカスカすぎない」ジャストサイズを選んであげるのが大事です。


成長を助ける土の配合と選び方
モンステラは、ジャングルの中で他の木に着生して育つ植物なので、空気をたっぷり含んだ「フカフカで水はけの良い土」が大好きです。
粘土質のベタベタした土は苦手です。
一番手軽で間違いがないのは、ホームセンターなどで売っている「観葉植物の土」という専用培養土を使うことです。
これには肥料も最初から入っていることが多く、袋から出してすぐ使えるので本当に便利です。
もし、「自分でこだわりの土を作ってみたい!」という方は、以下の「momo流・黄金比率」を試してみてください。
水はけを重視した、根腐れしにくい配合です。
- 赤玉土(小粒):6 … 土のベースになります。清潔で通気性が良いです。
- 腐葉土:3 … 栄養分となり、ふかふかの土を作ります。
- パーライト(または軽石小粒):1 … 水はけをさらに良くし、土を軽くします。
※虫が湧くのが嫌!という方は、腐葉土の代わりに「ピートモス(酸度調整済み)」や「ベラボン(ヤシ殻チップ)」を使うと、清潔に管理できますよ。
植え替えから株分けまでの一連の手順
準備が整ったら、いよいよ作業開始です!全体の流れを頭に入れておくと、焦らず進められます。
ここでは、鉢から抜くところから、株を分ける直前までのフローを確認しましょう。
作業の2〜3日前から水やりをストップし、土を乾燥させておきます。
土が湿っていると重くて扱いにくい上、古い土が根にこびりついて落ちにくく、根を傷める原因になります。
土がサラサラの状態にしておくのがプロのコツです。
株の根元を優しく持ち、鉢を横に倒して、トントンと側面を叩きながら引き抜きます。
もし根がパンパンに張って抜けない場合は、無理に引っ張らず、鉢の縁に沿ってナイフや細い棒を差し込み、一周ぐるりと隙間を作ってあげると抜けやすくなります。
それでもダメなら、プラスチック鉢ならハサミで切って壊すのも一つの手です。
抜いた株の根っこ(根鉢)を崩していきます。
古い土は栄養分がなくなり、団粒構造も崩れて微塵(みじん)になっていることが多いので、全体の3分の1〜半分程度を目安に優しく落としてあげましょう。
この時、根がガッチリ絡まっている場合は、割り箸などを使って丁寧に解きほぐします。
無理に引っ張ってブチブチ切らないように注意してくださいね。
ここまで出来たら、いよいよメインイベントの「株分け(切断)」に入ります!
成功させるための株分けの方法


いよいよ、絡まり合ったモンステラを複数の株に分ける作業です。
ここは一番緊張する瞬間かもしれませんが、ポイントさえ押さえれば大丈夫です。
まず、土を落とした根の状態をよく観察してください。
モンステラは地中で根が複雑に絡み合っていることが多いです。
手で優しく揺らしながら、「ここなら分かれそうだな」というポイントを探します。
もし、根が絡まりすぎて手でほぐせない場合は、無理に引きちぎるのではなく、清潔なハサミやナイフを使って根の結合部分をスパッと切断します。
切り口はできるだけ鋭利に、組織を潰さないように切るのがコツです。
切り口の面積が大きい場合(太い茎を切った場合など)は、そこから雑菌が入るのを防ぐために、市販の「癒合剤(トップジンMペーストなど)」を塗っておくと安心です。
もし癒合剤がない場合は、切り口を日陰で半日ほど乾かして(カルスを形成させて)から植え付けると、腐敗のリスクを減らせますよ。



いよいよ、絡まり合ったモンステラを複数の株に分ける作業です。
正直、大切に育ててきたモンステラにハサミを入れる瞬間って、何度やっても「痛くないかな?」「間違ってないかな?」とドキドキして手が震えちゃいますよね。
でも、思い切りが大切です!
重要な株分けの切る位置と節の確認
株分けで最も多い失敗は、「切る位置を間違えて、新芽が出ない株を作ってしまう」ことです。
これを防ぐためには、モンステラの体の仕組みを少しだけ理解する必要があります。
モンステラを切り分ける時は、必ず以下の「3点セット」が含まれるようにしてください。
- 茎(くき):葉っぱがついている軸の部分。
- 成長点(節・ふし):茎にある、葉の付け根の少し膨らんだ部分。ここから新しい芽が出ます。
- 根(ね):土に埋まる根っこ、または空中に伸びている気根(きこん)。
特に重要なのが「節(ふし)」です。
つるんとした茎の途中を切っても、そこから芽は出ません。必ず「節」を含めて切り分けること。
そして、その切り分けたパーツに「根っこ(または気根)」がついていること。
この2つが揃っていれば、たとえ葉っぱが1枚もない状態になっても、そこから必ず復活して新しい葉を出してくれます。
気根が長く伸びている場合は、その気根を土に埋めることで、地下の根として機能し始めます。
邪魔だからと切ってしまう方もいますが、株分けの時は大切な命綱になるので、できるだけ残して一緒に植え込んであげてください。


植え替えで根っこは切っちゃダメなのか


「植え替えの時に、根っこを切ってしまっても大丈夫ですか?」という疑問もよく見かけます。
答えは、「状態の悪い根は切るべき、元気な根は残すべき」です。
土を落とした時に、以下のような根が見つかったら、それは迷わず根元からカットしてください。
- 黒ずんでいて、触るとブヨブヨしている根(腐っています)
- 中身がなくてスカスカになっている根(死んでいます)
- 極端に長すぎて鉢に収まりきらない細い根
逆に、白くて太い、弾力のある根は健康な証拠です。
これはモンステラのエネルギー源なので、できるだけ切らずに残します。
ただし、鉢の中でぐるぐると回ってしまっている根は、そのまま植えると新しい根が伸びにくいので、底の部分を少しほぐしたり、十字にハサミを入れて成長を刺激してあげると、活着が良くなりますよ。


モンステラを剪定する際の基礎知識
株分けとセットで行うことが多いのが「剪定(せんてい)」です。
剪定とは、人間で例えると「散髪」のこと。伸びすぎた枝や葉をカットして、見た目を整えたり、風通しを良くしたりする作業です。
剪定の目的は主に3つあります。
- バランス調整:大きくなりすぎて邪魔になった葉や、あちこちに伸びた茎を整理する。
- 健康維持:葉が混み合っていると風通しが悪くなり、カイガラムシなどの害虫が発生しやすくなるため、間引いて風通しを良くする。
- 新陳代謝の促進:古くて傷んだ葉をカットすることで、余分なエネルギー消費を抑え、新芽の成長に栄養を集中させる。
剪定も株分けと同じく、植物に傷をつける作業なので、成長期の5月〜9月に行うのが鉄則です。
形を整える「切り戻し」の手順
ひょろひょろと茎だけが長く伸びてしまい、葉っぱの間隔が空いてしまった状態を「徒長(とちょう)」といいます。
日照不足などが原因で起こりますが、こうなってしまった株は「切り戻し」をして、カッコいい姿に仕立て直しましょう。
手順はとてもシンプルです。
「ここで枝分かれしてほしいな」「ここから新芽が出てほしいな」と思う位置にある「節」の上、約1cm〜2cmのところで茎をカットします。
節のすぐ上で切ることで、残った節にある成長点が刺激され、そこから新しい芽がニョキッと顔を出します。
最初は「こんなに短く切って大丈夫かな?」とドキドキするかもしれませんが、モンステラの生命力は本当に凄まじいです。
適期であれば、1ヶ月もしないうちに可愛い新芽が出てきますよ。
思い切ってコンパクトにすることで、株元ががっしりとして、見栄えの良い株に生まれ変わります。


挿し木の具体的な方法・手順
剪定や切り戻しでカットした茎、捨ててしまうのはもったいないですよね!
元気な茎なら、「挿し木(さしき)」にして新しい株として増やすことができます。
- 挿し穂(さしほ)を作る:カットした茎を、1〜2節ごとの長さに切り分けます。この時、必ず気根がついていると成功率がグンと上がります。
- 葉を調整する:大きな葉がついていると、そこから水分が蒸発しすぎてしまうので、葉を半分くらいの大きさにカットするか、枚数を1枚だけに減らします。
- 土に挿す:肥料分の入っていない清潔な土(赤玉土単体やバーミキュライトなど)を用意し、茎がぐらつかないようにしっかりと挿します。気根がある場合は、気根も土に埋めます。
- 管理:直射日光の当たらない明るい日陰に置き、土が乾かないようにこまめに水やりをします。
順調にいけば、約1ヶ月ほどで新しい根が生えてきます。
新芽が展開してきたら、発根成功のサイン!観葉植物用の土を入れた鉢に植え替えましょう。
モンステラの増やし方で「水差し」を選ぶ場合
土を使わず、もっと手軽に増やしたい!という方には「水差し(水挿し)」がピッタリです。
お気に入りのガラス瓶や花瓶に水を入れて、カットした茎を挿しておくだけ。
水差しの最大のメリットは、何と言っても「管理が楽で清潔」なこと。
土を使わないので部屋が汚れませんし、キッチンや洗面所など、ちょっとしたスペースに飾ることができます。
また、透明な容器を使えば、白い根っこが伸びてくる様子を毎日観察できるので、「生きてるんだな〜」と愛着が湧くこと間違いなしです。



私も水差しをしている時期は、毎朝コーヒーを飲みながら「今日はどれくらい根っこ伸びたかな?」って瓶を覗き込むのが日課になっています。
ある日白い根っこがニョキッと出ているのを見つけると、朝からガッツポーズしたくなるくらい嬉しいですよ!
ただし、水の中で育った根(水根)は、土の中の根とは少し性質が違います。
そのため、水差しで十分に根が出た後に土に植え替えると、環境の変化に驚いて一時的に元気がなくなることがあります。
最終的に土で大きく育てたい場合は、根が出たら早めに土に移行するのがコツです。
手軽なモンステラの水差し管理のコツ


水差しは簡単ですが、放っておくと水が腐って失敗します。成功の鍵は「水の鮮度」です。
- 水換えの頻度:夏場は毎日、涼しい時期でも2〜3日に1回は水を全交換してください。
- 容器の洗浄:水を換える時、容器の内側がヌルヌルしていたら、スポンジでしっかり洗ってください。このヌメリは雑菌の膜(バイオフィルム)で、植物を腐らせる原因になります。
- 発根促進剤の活用:なかなか根が出ない時は、「メネデール」などの活力剤を水に規定量混ぜると、発根スイッチが入りやすくなります。
- 水位:気根がある場合は、気根が水に浸かるようにします。ただし、葉っぱの付け根まで水に浸けてしまうと腐りやすいので、茎の下半分が浸かるくらいを目安にしましょう。
株分け後は「水栽培」がオススメ!メリットと手順
これは私の裏技的なテクニックなのですが、株分けをした際、根が少なくて不安な株や、少し元気がなさそうな株は、いきなり土に植えずに「一旦、水栽培(水耕栽培)にする」ことを強くおすすめします。
なぜなら、土の中は見えませんが、水栽培なら根の状態が丸見えだからです。
「ちゃんと水を吸えているかな?」「根腐れしていないかな?」というのを毎日チェックできるので、枯らしてしまうリスクを大幅に減らせます。
手順は簡単。根についた土を綺麗に洗い流し、根が浸かるくらいの水を入れた容器に入れるだけ。
この状態で、明るい日陰で管理し、白い新しい根がたくさん出てくるのを待ちます。
根が十分に増えて、株自体に勢いが出てきてから土に植え替えてあげると、驚くほどスムーズに定着してくれますよ。
「リハビリ期間」として水栽培を活用するのは、プロもよくやる手法なんです。
まとめ:正しいモンステラの株分け時期を守る重要性
ここまで、モンステラの株分け時期や具体的な手順について、たっぷりと解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
最後にもう一度、一番大切なことをお伝えします。
「モンステラの株分けは、5月中旬〜7月、または9月〜10月上旬に行うこと」
この「時期」というルールさえ守れば、モンステラはあなたの期待に応えて、力強く成長してくれます。
逆に、冬の寒い時期や真夏の酷暑に無理をしてしまうと、せっかくの愛株を失ってしまうことになりかねません。
植物を育てることは、待つことでもあります。
「今はちょっと狭そうだけど、暖かくなるまで我慢してね」と声をかけながら、春を待つのも園芸の楽しみの一つです。
正しい知識とタイミングで、ぜひ株分けにチャレンジして、モンステラとの暮らしをもっと楽しんでくださいね!









