こんにちは!「観葉植物の育て方ナビ」運営者のmomoです。
ある日ふと、大切に育てているモンステラの葉っぱを見て、「あれ?こんなところに茶色いシミなんてあったっけ?」とドキッとした経験はありませんか?
昨日まではツヤツヤの緑色だったはずなのに、気づけば葉の縁が茶色く枯れ込んでいたり、ポツポツとした斑点が広がっていたり…。
見つけた瞬間、すごくショックを受けてしまいますよね。
「もしかして、何か変な病気にかかっちゃったのかな?」「このまま全部の葉っぱが枯れてしまったらどうしよう」と、不安な気持ちでいっぱいになってしまうと思います。
私もモンステラを育て始めたばかりの頃、同じように葉の変色に悩まされたことがあります。
ネットで調べては、自分の株と見比べて一喜一憂したり、葉の裏や根元までくまなくチェックして原因を探したりと、必死に対処法を探したものです。
実は、モンステラの葉に現れる茶色い斑点や黒いシミ、あるいは黄色い変色は、植物からの切実な「SOSサイン」なんです。
それは、「水が苦しいよ」「寒くて凍えそうだよ」「バイ菌が入って痛いよ」という、言葉を持たない彼らなりのメッセージなんですね。
このSOSを正しく受け取ってあげられれば、モンステラは驚くほど強い生命力で復活してくれます。
逆に、焦って間違った対処(例えば、弱っているのに肥料をあげてしまうなど)をしてしまうと、症状を悪化させてしまうこともあります。
この記事では、私の失敗談や経験も交えながら、モンステラの葉が茶色くなる原因を突き止め、その状態に合わせたベストな対処法を、初心者の方にも分かりやすく徹底的に解説していきます。
- 葉の斑点の色、形、質感から「病気」か「環境ストレス」かを正確に見分ける診断ポイント
- 根腐れ、葉焼け、害虫など、症状ごとの具体的な回復手順とケア方法
- 美観を損ねてしまった葉の正しい「剪定(カット)」のやり方と、切るべきタイミングの判断基準
- 二度と茶色い斑点を作らせないための、水やり・置き場所・風通しの黄金ルール
モンステラの葉に茶色の斑点ができる原因と見分け方

「葉が茶色い」とひとことで言っても、その表情は千差万別です。
パリパリに乾いてカサカサしているのか、それとも水っぽくブヨブヨしているのか。
色は薄い茶色なのか、黒に近い焦げ茶色なのか。斑点は丸いのか、不規則な形なのか。
まずは、今あなたの目の前にあるモンステラをじっくり観察してみてください。
そこには必ず、原因を特定するためのヒントが隠されています。
モンステラの葉が茶色になるのはなぜ?
そもそも、どうして植物の葉は茶色く変色してしまうのでしょうか。
健康なモンステラの葉が美しい緑色をしているのは、細胞の中に「クロロフィル(葉緑素)」という緑色の色素がたくさん詰まっているからです。
このクロロフィルが、太陽の光を受けて栄養を作る「光合成」の主役を担っています。
しかし、何らかの強いストレス(乾燥、過湿、寒さ、菌の侵入など)が加わると、植物の細胞はダメージを受けます。
すると、細胞内で活性酸素が発生し、クロロフィルが分解されて緑色が失われてしまいます。
さらにダメージが深刻になると、細胞そのものが死滅してしまいます。これを専門用語で「壊死(ネクロシス)」と呼びます。
細胞が死んでしまうと、細胞の中にあったフェノール類という成分が酸化して、褐色(茶色)の物質に変わります。
これが「茶色い斑点」の正体です。人間に例えるなら、ひどい火傷をして皮膚が変色してしまったり、怪我をしてカサブタになったりする状態に近いかもしれません。
カサブタになった皮膚が元のツルツルの肌に戻るのに時間がかかる(あるいは跡が残る)ように、植物の葉も一度茶色く壊死してしまった部分は、残念ながら二度と元の緑色には戻りません。
「元に戻らないなら意味がない?」⇒そんなことはない!
茶色くなった部分自体は治りませんが、その「原因」を取り除いてあげれば、進行を食い止めることができます。
そして何より、これから新しく出てくる葉っぱを、ピカピカの緑色で展開させてあげることができるんです。
諦めずにケアしてあげましょうね。
葉に茶色い斑点がある原因

モンステラの葉に斑点ができる原因は、一つではありません。
私の経験上、主な原因は大きく分けて以下の5つに分類されます。
あなたのモンステラの置かれている環境や、最近のお世話の様子を思い出しながら、当てはまりそうなものを探ってみてください。
| 原因 | よくあるシチュエーション | 特徴的な症状 |
|---|---|---|
| ① 根腐れ | 土が乾く前に水をあげていた、受け皿に水を溜めていた、土の水はけが悪い | 下葉から黄色くなる、黒っぽい斑点が出る、土から異臭がする |
| ② 葉焼け | 急に直射日光の当たる場所に出した、夏の西日が当たっていた | 光が当たった部分だけ色が抜けて茶色くなる、カサカサに乾いている |
| ③ 寒さ(冷害) | 冬の窓際に置いていた、夜間の室温が5℃〜10℃以下になった | 水っぽい黒褐色のシミができる、葉全体がクタクタになる |
| ④ 水切れ | 水やりを忘れて土がカラカラ、エアコンの風が直接当たっている | 葉の先や縁から茶色く枯れ込む、葉が丸まる、垂れ下がる |
| ⑤ 病気・害虫 | 風通しが悪い、葉水をしていない、他の植物から虫が移った | 独特な模様の斑点(同心円状など)、白い粉やベタベタが付着している |
特に多いのが、良かれと思って水をやりすぎてしまう「根腐れ」と、環境の変化による「葉焼け」や「寒さ」です。
「病気かな?」と疑う前に、まずはこれらのお手入れや環境に問題がなかったかを確認するのが、解決への近道ですよ。
葉に黄色い斑点が出るのは病気の前兆か
茶色く枯れ込む前に、「葉の一部が黄色い斑点状に変色している」という段階で見つけることもあるかもしれません。
これは「クロロシス(白化・黄化)」と呼ばれる現象で、細胞が「もう限界だよ!助けて!」と悲鳴を上げている初期段階のサインであることが多いです。
もし、黄色い斑点の境界線がぼんやりとしていて、じわじわと広がっているようなら要注意です。
これは、根っこがダメージを受けて栄養吸収がうまくできていない「根腐れの初期症状」か、あるいは「黒星病」などのカビ由来の病気が進行している可能性があります。
特に、黄色い部分の中心に小さな黒い点がある場合は、病気の疑いが濃厚です。
この段階で気づいて対処できれば、被害を最小限に食い止めることができます。
一方で、一番下の古い葉っぱだけが、全体的に均一に黄色くなってポロリと落ちる場合は、あまり心配いりません。
これは植物の「新陳代謝」による生理現象で、新しい葉っぱに栄養を回すために、役目を終えた古い葉を落としているだけだからです。
ただし、次々と何枚も黄色くなるようであれば、やはり根詰まりや根腐れを疑ったほうが良いでしょう。
葉に黒いシミが広がる危険なサイン
茶色というよりも、「真っ黒」や「黒褐色」のインクを垂らしたようなシミが葉に広がっている場合は、かなり緊急性が高い危険なサインです。
これは細胞が急速に破壊されていることを示しています。
冬場に見られる黒いシミは、間違いなく「低温障害(凍傷)」です。
モンステラは熱帯アメリカ原産の植物なので、日本の冬の寒さは大敵です。
特に、昼間は暖かいリビングでも、夜中の窓際は放射冷却で冷蔵庫の中のような寒さになります。
窓ガラスに葉が触れていたりすると、その部分から細胞が凍って壊死し、翌朝には無残な黒いシミになってしまうのです。
また、季節に関係なく、水やり後にいつまでも土が乾かず、葉が黒ずんでくる場合は、「重度の根腐れ」が進行している恐れがあります。
この場合、黒い変色部分は触るとブヨブヨと柔らかく、腐敗が進んでいることが多いのが特徴です。
根っこで作られた毒素が茎を通って葉まで到達し、植物全体が中毒状態になっている証拠ですので、一刻も早い処置(植え替えなど)が必要になります。

葉の根元が茶色くなるのは腐敗か老化か
葉っぱそのものではなく、茎の付け根(根元)にある「袴(ハカマ)」のようなビラビラした部分が茶色くなっているのを見て、「ここも病気?」と心配になる方も多いですね。
結論から言うと、この根元の茶色い変色は、多くの場合「正常な老化現象」ですので安心してください。
この「袴」部分は、新しい葉が茎から出てくる時に、柔らかい芽を保護していた鞘(さや)のようなものです。葉が成長してしっかりしてくると、役目を終えた鞘は自然に枯れて茶色くなり、乾燥してパリパリになります。
これはモンステラが順調に成長している証拠なので、見た目が気になるなら手で優しく取り除いてしまっても構いません。
ただし、注意が必要なケースもあります。もし根元が乾燥しておらず、黒っぽく湿っていて、触るとグズグズに崩れたり、ヌルヌルしたりする場合です。これは老化ではなく「腐敗」です。
「軟腐病(なんぷびょう)」などの細菌性の病気や、根腐れが茎まで進行している可能性があります。
この場合、腐った部分からは嫌なニオイがすることが多いので、鼻を近づけて確認してみてください。
もし腐敗臭がするなら、その株はかなり危険な状態と言えます。
葉の裏が茶色に変色していないか確認
葉の表面ばかりに気を取られがちですが、トラブルの原因は意外と「裏側」に潜んでいるものです。
表面はきれいな緑色なのに、裏返してみたら茶色く変色していた…なんてことはありませんか?
ぜひ、ルーペやスマホの拡大鏡機能を使って、葉の裏をじっくり観察してみてください。
もし、葉の裏に「かすり傷のような茶色いシミ」が無数にあったり、銀色っぽく光るような跡があったりする場合は、「ハダニ」や「アザミウマ(スリップス)」といった微細な害虫の仕業である可能性が高いです。
これらの害虫は葉の裏に潜んで、鋭い口針を細胞に突き刺し、中の汁を吸い取ります。
吸われた跡は細胞が死んで茶色くなり、それが集まってシミのように見えるのです。
また、葉の裏に茶色や黒の小さな粉のようなものが付着している場合、それは害虫の排泄物かもしれません。
ティッシュで拭き取ってみて、赤茶色っぽい色がつくようなら、ハダニが大量発生している証拠です。
彼らは乾燥した環境が大好きなので、エアコンの風が当たる場所などは要注意ですよ。
モンステラの葉に茶色いブツブツがあるのは病気?
葉の表面や裏面、あるいは茎の部分に、爪でカリカリするとポロリと取れるような「茶色いブツブツ」がついていませんか?
「何かの病気で、カサブタができちゃったのかな?」と思うかもしれませんが、実はこれ、病気ではなく生き物なんです。
その正体は、「カイガラムシ」という害虫です。
「虫」といっても、成虫になると脚が退化して動かなくなり、茶色い硬い殻(介殻)をかぶって植物に張り付いて過ごします。
だから一見すると、ただの茶色いイボや斑点に見えてしまうんですよね。
私も最初は「なんだこれ?」と思って放置してしまい、気づいた時には茎がカイガラムシだらけになっていてゾッとした経験があります。
カイガラムシは植物の栄養を吸い取るだけでなく、その排泄物(甘露と呼ばれるベタベタした汁)が葉に落ちると、そこにカビが生えて「黒すす病」という病気を引き起こします。
葉が黒いススを被ったように汚れてしまい、光合成ができなくなってしまいます。
動かないからといって油断は禁物。見つけたら、歯ブラシやヘラなどで物理的にこそげ落として駆除する必要があります。
直射日光による葉焼けで焦げた状態

夏場や、春先に急に日当たりの良い場所へ移動させた時に起こりやすいのが「葉焼け」です。
モンステラはもともとジャングルの大きな木の下で育つ植物なので、木漏れ日のような柔らかい光を好みます。
真夏の直射日光、特に西日は刺激が強すぎて、葉の細胞が耐えきれずに火傷をしてしまうのです。
- 光が強く当たっていた部分だけが、くっきりと変色している。
- 最初は色が抜けて白っぽくなり、やがて茶色く焦げたようになる。
- 変色した部分は水分を失い、触るとカサカサ、パリパリに乾燥している(紙のように薄くなる)。
- 病気とは違い、日当たりを変えればそれ以上斑点が広がることはない。
特に注意が必要なのが、白や黄色の模様が入った「斑入り(バリエガータ)」のモンステラです。
白い部分は葉緑素がないため、光への耐性が非常に弱く、少しの直射日光でもすぐに茶色く焼けてしまいます。
「日光浴をさせてあげよう」という親心が、逆にモンステラを傷つけてしまうこともあるので、レースのカーテン越しの光を徹底してあげてくださいね。
momo私も以前、天気のいい休日に「たまにはお外で風に当たっておいで〜」なんてベランダに出したことがあるんです。
お昼ご飯を食べて、ほんの2〜3時間後に見てみたら…なんと葉っぱが真っ白に!
あんなに短時間で焼けてしまうなんて思わず、真っ青になりました。
あの時のモンステラには本当に申し訳ないことをしました…。
寒さが原因で起きる茶色いシミと枯れ
先ほども少し触れましたが、モンステラにとって日本の冬は過酷な季節です。
耐寒温度は品種にもよりますが、一般的には5℃〜10℃が限界ラインと言われています。
これより寒い環境にさらされると、植物の細胞内の水分が凍ったり、生理機能が停止したりして、深刻なダメージ(冷害)を受けます。
寒さによる症状の特徴は、葉のあちこちに不規則な形の茶色いシミができたり、葉全体の色艶がなくなってドス黒く変色したりすることです。
また、冷たい風が当たった側の葉だけが枯れることもあります。
これを防ぐためには、冬場は窓際から離れた部屋の中央に置くか、夜間だけでもダンボールや発泡スチロールで鉢を囲って保温するなどの対策が有効です。
もし寒さでやられてしまった場合、焦って暖かい部屋に移動させたり、お湯のような水を与えたりするのは逆効果です。
急激な温度変化はさらにストレスを与えてしまうので、徐々に室温に慣らしながら、水やりを控えて「冬眠」のような状態で静かに回復を待つのが最善策です。
根腐れによる葉の変色と黒ずみのサイン


モンステラのトラブルの中で、最も恐ろしく、かつ最も頻繁に起こるのが「根腐れ」です。
「葉っぱが茶色いから水が足りないのかな?」と勘違いして、さらに水をあげてしまい、トドメを刺してしまう…という悲しいパターンが後を絶ちません。
根腐れは、土の中が常に水浸しになることで酸素不足になり、根っこが窒息死してしまう現象です。
さらに、酸欠状態の土の中では、腐敗菌(嫌気性バクテリア)が繁殖し、根を溶かして毒素を出します。
- 土が乾かない:水をあげてから何日経っても、土の表面がジメジメしている。
- 下葉からの変色:新しい葉ではなく、株元に近い古い葉から順に黄色や茶色に変色し、垂れ下がってくる。
- 異臭:鉢の土に鼻を近づけると、腐った卵やドブのような、ツンとする嫌なニオイがする。
葉の縁から黒ずんできたり、茎にシワが寄ってきたりしたら、根腐れはかなり進行しています。
「水やり3年」と言われるほど水やりは奥が深いものですが、モンステラに関しては「迷ったらやらない(乾かす)」くらいのスタンスの方が、根腐れのリスクを減らせますよ。
病気による斑点の特徴と種類
ここまで紹介した「環境ストレス」ではなく、カビ(糸状菌)や細菌による「伝染性の病気」が原因の場合もあります。
病気の怖いところは、放置すると胞子が飛んで、同じ株の他の葉や、隣に置いている他の観葉植物にまで次々と感染が広がってしまうことです。
早期発見と早期対処が何よりも重要になります。
| 病気の種類 | 特徴的な症状 | 発生しやすい環境 |
|---|---|---|
| 炭疽病 (たんそびょう) |
茶色や黒褐色の円形の斑点ができる。斑点の内側に、木の年輪のような「同心円状の輪紋」が見えるのが最大の特徴。湿気が多いと、斑点の上にピンク色の粘着質な胞子の塊が出ることがある。 | 高温多湿、風通しが悪い場所。葉が濡れたままの状態が続くと発生しやすい。 |
| 黒星病 (くろほしびょう) |
葉に黒い小さな斑点ができ、その周囲がぼんやりと黄色く変色する(ハロー現象)。斑点は徐々に大きくなり、葉全体を枯らす。 | 雨が多い時期や、湿度が高い環境。葉水の後、乾かずに蒸れていると危険。 |
| 褐斑病 (かっぱんびょう) |
赤茶色の小さな斑点が多数発生する。斑点の周りに黄色い輪ができることが多い。感染力が強く、次々と新しい葉に転移する。 | カビの一種が原因。風通しの悪い場所で多発する。 |
これらの病気は、特に梅雨時や秋の長雨の時期など、湿気がこもりやすい季節に発生しやすいです。
「なんだか斑点の形が不気味だな」「模様みたいに見えるな」と思ったら、まずは病気を疑って、その株を他の植物から隔離してください。
ハダニによる病気の症状・特徴
厳密に言うと「病気(菌)」ではありませんが、病気と同じくらい、あるいはそれ以上にモンステラを苦しめるのが「ハダニ」という害虫の存在です。
「うちはマンションの高層階だから虫なんて来ないよ」と思っている方、要注意です!ハダニは風に乗ってどこからともなくやってきますし、私たちが外から服にくっつけて持ち込んでしまうこともあるんです。
ハダニは、クモの仲間で、体長は0.5mmほどしかありません。
肉眼では「赤い点」や「黒い点」にしか見えませんが、彼らが集団でモンステラの葉の裏に取り付き、細胞の中の栄養(葉緑素)をチューチューと吸い取ってしまいます。
- 葉の表面に、針でつついたような細かい白や黄色の斑点(カスリ状の傷)が無数にある。
- 葉全体の色がなんとなく白っぽく、ぼやけた色(退色)になっている。
- 葉の裏を見ると、赤や茶色の小さな粉のようなものが動いている。
- 葉の付け根や裏側に、うっすらとクモの巣のような糸が張っている。
- 被害が進むと、葉が茶色くカサカサになって枯れ落ちる。
ハダニの最大の特徴は、「乾燥した環境が大好き」ということです。
エアコンの風が直接当たる場所や、湿度が低い部屋では爆発的に増殖します。
逆に言えば、湿気には弱いので、霧吹きで葉水(はみず)をしてあげるだけでも、かなりの予防効果があるんです。
モンステラの葉の茶色の斑点を治す対処法と復活術


原因がなんとなく分かってきましたか?「私のモンステラ、根腐れかも…」「いや、これは寒さでやられたんだな」と原因が特定できれば、解決への道のりは半分終わったようなものです。
ここからは、実際にどうやって対処して、傷ついたモンステラを復活させていくか、具体的なアクションプランをお話しします。
「もう手遅れかな?」と諦める前に、できることをやってみましょう!
モンステラの葉が茶色になったらどうしたらいい?
茶色い斑点を見つけた時、まず最初にやるべきことは、「原因の切り分け」と「環境の改善(隔離)」です。
もし、病気(炭疽病など)や害虫(カイガラムシなど)の可能性があるなら、その株をすぐに他の植物から離して、別の部屋へ移動させてください(隔離)。
これは被害の拡大を防ぐための鉄則です。次に、モンステラが置かれている環境を見直します。
【絶対NG】弱っている株に肥料を与えること
「元気がないから栄養ドリンクをあげなきゃ!」と、液体肥料や活力剤をドバドバ与えるのは絶対にやめてください。
根が傷んでいる時に肥料を与えると、人間で言えば「高熱で寝込んでいる時にステーキを無理やり食べさせる」ようなものです。
消化不良を起こして、逆に根っこを痛める「肥料焼け」を起こし、トドメを刺してしまいます。肥料は、元気になってからあげるご褒美だと考えてくださいね。
まずは、直射日光が当たっているならレースのカーテン越しに移動させる、エアコンの風が当たっているなら場所を変える、土が湿りすぎているなら風通しの良い場所で乾かす。
こうして、モンステラにとって「ストレスのない、居心地の良い環境」に戻してあげることが、治療の第一歩であり、最大の特効薬になります。
葉っぱが茶色なら「剪定」で切る
「茶色くなってしまった葉っぱは、かわいそうだけど切ったほうがいいの?それとも残しておいていいの?」
これは本当によく聞かれる質問ですし、私自身もハサミを入れるときはいつも胸が痛みます。
結論から言うと、判断基準は以下の通りです。
| 原因 | 切るべきか? | 理由 |
|---|---|---|
| 病気の場合 | 全撤去 | 病斑にはカビの胞子や細菌が含まれています。残しておくと、そこから他の葉へ次々と感染が広がってしまいます。心を鬼にして切り落としましょう。 |
| 生理障害の場合 (葉焼け・寒さ) |
残してもOK | 病気ではないので、他にうつる心配はありません。茶色い部分は光合成できませんが、残っている緑色の部分はまだ生きていて、光合成をして株にエネルギーを送っています。株の体力が落ちている時は、無理に全部切らずに、茶色い部分だけをトリミングするのも賢い選択です。 |
枯れた葉はどこから切るのが正解か
「よし、切ろう!」と決めたものの、いざハサミを持つと「どこから切ればいいの?茎の途中?それとも根元?」と迷ってしまいますよね。
切り方は、葉のダメージ具合によって2つのパターンがあります。
パターンA:葉の縁や先だけが茶色い場合
この場合は、葉を全部落とす必要はありません。
茶色く枯れた部分だけを、ハサミで切り取ります。この時、直線にバツンと切るのではなく、葉っぱの形に合わせて丸くカーブを描くように切ると、遠目には枯れていたことが分からないくらい自然な仕上がりになります。
枯れた部分と緑の部分の境目ギリギリ(枯れている側)を切るのがコツです(緑の部分を切ると、切り口がまた茶色くなることがあるため)。
パターンB:葉全体が枯れている、または病気の場合
葉の半分以上が枯れていたり、病気の斑点が出ていたりする場合は、葉っぱごと取り除きます。
切る位置は、その葉がついている茎(葉柄)の付け根(株元)ギリギリです。
茎を中途半端に残してしまうと、残った茎がやがて腐ってしまい、そこから病気が入る原因になるからです。
【重要】ハサミの消毒を忘れずに!
ハサミは、使う前に必ずアルコール除菌シートで拭くか、熱湯消毒、あるいはライターの火で炙るなどして「消毒」してください。
特に病気の葉を切った後のハサミには、目に見えない菌が付着しています。
そのまま別の葉や他の植物を切ると、あなたの手で病気を広げてしまうことになります(これを「器具伝染」といいます)。
1回切るごとに拭くくらいの慎重さがあっても良いくらいです。


殺菌剤や薬剤の効果的な散布のしかた


病気や害虫が原因だった場合は、自然治癒を待つよりも、薬剤に頼るのが一番確実で早いです。
「農薬を使うのはちょっと怖い…」という方もいるかもしれませんが、最近は家庭園芸用に安全性が高く、使いやすいスプレータイプのものがたくさん出ています。
1. 病気(炭疽病・黒星病など)の場合
カビ(糸状菌)が原因の病気には、「殺菌剤」を使います。広範囲の病気に予防効果がある「ダコニール1000」や、浸透移行性があり治療効果も期待できる「トップジンM」などが有名です。
初心者の方には、殺虫成分と殺菌成分が一緒になった「ベニカXファインスプレー」などが、一本で病気と虫の両方に対処できるので便利です。
2. 害虫(カイガラムシ・ハダニ)の場合
カイガラムシは硬い殻に守られているので、薬が効きにくいです。まずは歯ブラシなどでこすり落としてから、根から成分を吸収させるタイプの「オルトランDX粒剤」を土にパラパラと撒いておくと、予防効果が長く続きます。
ハダニは薬剤耐性がつきやすい(薬に慣れてしまう)ので、大量発生した場合は「バロック」や「コロマイト」などのハダニ専用の殺ダニ剤を使って、一網打尽にしましょう。
なお、農薬を使用する際は、必ずラベルの記載事項を守ることが大切です。
農林水産省も、農薬の適正な使用を強く推奨しています。
(出典:農林水産省「みどりのチェックシート解説書」)


根腐れ時の緊急植え替えと用土の選び方
もし原因が「根腐れ」で、土から変なにおいがしたり、土がいつまでも乾かなかったりする場合は、薬剤を撒くだけでは治りません。
腐ってしまった根っこを取り除く「緊急植え替え」が必要です。時期を選んでいる場合ではありません。
放っておけば枯れてしまいます。
【植え替えの手順】
- 株を抜く:鉢からモンステラを優しく引き抜きます。
- 根を洗う:根についている古い土を、シャワーの水流で完全に洗い流します。
- 腐った根を切る:黒くてブヨブヨしている根、引っ張るとすぐ切れる根はすべて死んでいます。清潔なハサミで、迷わず根元から切り落とします。健康な根は白くて硬いので、違いはすぐに分かるはずです。
- 殺菌する(推奨):健康な根だけになったら、希釈した殺菌剤に数分浸すか、切り口に癒合剤(トップジンMペーストなど)を塗って菌の侵入を防ぎます。
- 新しい土に植える:今まで使っていた土は菌が繁殖しているので捨ててください。新しい清潔な土を使います。根腐れからの回復期は、肥料分の入っていない無機質の土(赤玉土、鹿沼土、パーライトなどを混ぜたもの)を使うと、雑菌が繁殖しにくく安心です。
植え替え後は、直射日光の当たらない明るい日陰で、風通し良く管理し、根が回復するのを静かに待ちましょう。肥料は厳禁ですよ!
適切な水やりタイミングと乾燥気味の管理
無事に復活させるため、そして二度と茶色い斑点を作らせないために、最も大切なのが日々の「水やり」です。モンステラ栽培の失敗の9割は「水のやりすぎ」だと言っても過言ではありません。
「土の表面が乾いたら」という言葉をよく聞きますが、モンステラのような大きな鉢の場合、表面が乾いていても、鉢の中(根っこの周り)はまだジメジメ湿っていることがよくあります。
この状態で水をあげると、根腐れ一直線です。
- 指で確認:指を第一関節(できれば第二関節)まで土にズボッと入れてみてください。指先が湿っている感じがしたら、水やりはまだ早いです。
- 竹串チェック:鉢の底まで届く長い竹串を挿しておき、水やりの前に抜いてみます。串が湿っていたり、土がついてきたりするなら、まだ水は不要です。
- 重さで判断:水をあげた直後の鉢の重さを覚えておき、「軽くなったな」と感じたらあげるのも有効です。
- 「サスティー」を使う:色の変化で水やりのタイミングを教えてくれる水分計(サスティー)を使うと、目に見えて分かるので初心者の方には特におすすめです。
特に冬場や、根腐れ気味の時は、土が完全に乾いてからさらに2〜3日(冬なら1週間くらい)待ってからあげるくらいの「乾燥気味」の管理が、モンステラを強く元気に保つ秘訣ですよ。
モンステラは、水不足には意外と強いんです。
まとめ:モンステラの葉の茶色い斑点を防ぎ元気に育てよう
ここまで、モンステラの葉にできる茶色い斑点の原因と対策について、かなり詳しくお話ししてきました。
最後に、大切なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
- まずは観察:斑点は乾燥しているか(葉焼け・水不足)、湿っているか(根腐れ・低温障害)、独特な模様があるか(病気・害虫)をチェックする。
- 早期発見:葉の裏や根元、黄色い変色などの「初期サイン」を見逃さない。
- 適切な処置:病気なら即カット&消毒。根腐れなら緊急植え替え。生理障害なら環境改善。
- 予防が命:風通しを良くし、葉水でハダニを防ぎ、水やりは「完全に乾いてから」を徹底する。
植物は正直です。あなたが正しい知識を持って、愛情を持ってお世話をすれば、必ずその答えを返してくれます。
茶色くなってしまった葉を見て落ち込む必要はありません。今回学んだことをきっかけに、今後、より丁寧にケアしてあげてください。
その愛情があれば、きっとあなたのモンステラは復活し、またあのカッコいい切れ込みのある緑色の葉っぱを、力強く広げてくれるはずです。
焦らず、ゆっくりと一緒に進めていきましょう!
※本記事の情報は一般的な事例に基づくガイドラインです。植物の状態や栽培環境により最適な対処法は異なります。症状が改善しない場合は、お近くの園芸店や専門家にご相談されることをおすすめします。









