こんにちは!「観葉植物の育て方ナビ」運営者のmomoです。
お部屋のインテリアとして大人気のモンステラ。
育てていると、春から夏にかけてぐんぐんと成長し、気づけば「ちょっと大きくなりすぎたかな?」「形が乱れてきたな」と感じることも多いですよね。
そんな時、思い切って剪定をして、その切った茎で新しい株を増やせたら素敵だと思いませんか?
でも、いざ増やそうと思って茎を観察してみると、「あれ?この茎、気根(きこん)がないけど大丈夫かな?」と不安になって手が止まってしまうことがあります。
ネットや本で調べると、「モンステラの挿し木は気根を含めて切りましょう」と書かれていることもあり、気根なしの状態では失敗してしまうのではないかと心配になるのも無理はありません。
また、水差し時に「葉だけ」や「茎だけ」で成功するのか、切る場所は節の上がいいのか下がいいのか…と、考え始めると疑問は尽きませんよね。
実は、モンステラは非常に生命力が強い植物なので、たとえ気根がない状態であっても、正しい知識とちょっとしたコツさえ押さえれば、水差し(水耕栽培)で発根させて増やすことは十分に可能です!
私自身も、うっかり気根のない部分で折れてしまったモンステラを、諦めずに水差しして復活させた経験が何度もあります。
この記事では、気根が出ないのはなぜなのかという素朴な疑問から、気根を水につけるべきかどうかの判断、失敗しないための水換え頻度、そして万が一挿し木が失敗して茎が黒くなってしまった時の対処法まで、私の実体験を交えて徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、不安が自信に変わり、モンステラの挿し木にチャレンジしたくてうずうずしているはずですよ。
- 気根なしのモンステラを水差しで確実に発根させるための期間と具体的なステップ
- 「茎が黒くなる」などの失敗を防ぐための、水温管理や容器選びのコツ
- 葉がない「茎だけ」の状態から増やすなら、水差しよりも「茎伏せ」が良い理由
- 発根後に土へ植え替える最適なタイミングや、斑入り品種を扱う際の注意点
モンステラの挿し木は気根なしでも成功する?

結論から言うと、気根がないモンステラの茎であっても、挿し木や水差しで増やすことは「成功」します!
もちろん、気根があるベストな状態の茎に比べれば、少しだけ発根までの時間がかかったり、管理に気を使う必要があったりするのは事実です。
しかし、モンステラが持つ本来の生命力を信じて適切なサポートをしてあげれば、決して難しいことではありません。
まずは、なぜ気根がなくても大丈夫なのか、その植物の仕組みや基本的な切り方について、一緒に深く掘り下げて見ていきましょう。
そもそも気根が出ないのはなぜ?
SNSなどで見かける立派なモンステラには、茶色くて太い、まるでロープのような気根(きこん)がたくさん垂れ下がっていますよね。
それなのに、自宅のモンステラをつるつるの茎のままで、「うちの子、もしかして発育不良?」「元気がないのかな?」と心配になっている方もいるかもしれません。
でも、安心してください。気根が出ないのには、ちゃんとした理由があるんです。
1. 株がまだ「子供」であるため
モンステラの気根は、ある程度株が成熟し、茎が太くなってきてから活発に出てくる傾向があります。
購入してからまだ日が浅い小さな苗や、茎が細い若い株の場合は、まだ体を支えるための補助根(気根)を必要としていないため、出さないことが多いのです。
これは人間で言えばまだ成長期の子供のようなもので、異常ではありません。
2. 空中の湿度が不足しているため
これが一番大きな理由かなと思います。モンステラは本来、熱帯雨林のジャングルのような高温多湿な環境で、大きな木に着生して(よじ登って)育つ植物です。
現地の湿度は非常に高く、空気中から水分を取り込むために気根を伸ばします。
一方、日本の一般家庭、特にエアコンが効いた室内は、モンステラにとってはかなり乾燥した環境です。
「空気中から水分を取るのは効率が悪いから、土の中の根っこだけでいいや」と植物が判断すると、気根を出さなくなることがあります。
つまり、気根がない=不健康というわけではありません。
「今は必要ないから出していないだけ」というケースがほとんどですので、気根がない茎を使って挿し木をすること自体に何の問題もないんです。
モンステラの水差しは気根なしでも発根する
「気根は根っこの元だから、それがないと新しい根は生えてこないんじゃないか?」という誤解をされている方が非常に多いのですが、植物学的にはそうではありません。
モンステラを含む多くの植物には、「全能性(ぜんのうせい)」という素晴らしい能力が備わっています。
これは、体のどの細胞からでも、条件さえ整えば必要な器官(根や芽など)を作り出せる能力のことです(出典:日本植物生理学会「みんなのひろば」)。
特にモンステラの場合、「節(ふし)」と呼ばれる部分に成長点が集中しており、ここから新しい根っこである「不定根(ふていこん)」を作り出すことができます。
気根がある場合は、その気根が水につかることで「給水モード」にスイッチが切り替わり、枝分かれして水中根になります。
これは「すでにある根を利用する」パターンです。
一方で気根なしの場合は、茎の切断面や節の付近にある細胞が、「おっと、切り離されたぞ!水分を確保しなきゃ!」と緊急事態を察知し、細胞分裂を活発化させてゼロから根っこを作り始めます。
これが「新しく根を作る」パターンです。
どちらも最終的には「根が出て水を吸う」というゴールは同じ。スタート地点が違うだけなんです。
ですから、「気根がないから無理かも」と諦める必要は全くありません。
気根なしの水挿しで発根するまでの期間
ただし、気根なしで水差しをする場合、一つだけ覚悟しておかなければならないことがあります。
それは「時間がかかる」ということです。
気根がある茎は、すでにある気根からすぐに水分吸収を始められるため、早ければ数日で白い根が動き出します。
しかし、気根なしの茎は、まず傷口を修復し、根を作るための準備(カルス形成)をしてから、やっと発根というプロセスをたどります。
- 気根ありの場合: 早ければ3日〜1週間程度で変化が見られます。
- 気根なしの場合: 平均して2週間〜1ヶ月程度かかります。環境によってはそれ以上かかることも。
この「待ち時間」が長いため、途中で「やっぱり失敗したのかな?」と不安になって捨ててしまったり、いろいろいじってしまったりする方が多いんです。
気根なしの水差しにおいて一番必要なのは、テクニックよりも「待つ忍耐力」かもしれません。
最初の数週間は、切り口が少し膨らんでくる程度で、目に見える変化が少ないのが普通です。
水さえ腐らせなければ、植物の中で着々と準備が進んでいますので、信じてじっくり見守ってあげてくださいね。
momo実は私、初めて挑戦した時に待ちきれなくて、毎日瓶から出して「まだかな?」って切り口を触って確認していたんです。
今思うと、あれは植物にとって大迷惑でしたよね(笑)。
触りすぎたせいで雑菌が入ってしまった失敗経験があるので、皆さんは「触らずに見守る勇気」を持ってくださいね。
水差しは葉だけでは育たない


これはモンステラを増やそうとする初心者さんが、最も陥りやすい失敗ポイントの一つです。
声を大にしてお伝えしたいのですが、モンステラは「葉っぱだけ(葉と葉柄のみ)」を水に挿しても、そこから根っこや新芽が出てくることはありません。
多肉植物やペペロミアなどの一部の植物は「葉挿し(はざし)」といって、葉っぱ一枚からでもクローンを作れる能力を持っています。
しかし、モンステラにはその能力がないのです。花瓶に生けておくと、1ヶ月、時には2ヶ月以上も緑色のままで綺麗ですよね。
でも、いつまで経っても根っこは生えてきませんし、新しい葉も展開しません。これは「茎(節)」がついていないからです。
葉っぱだけを水に挿している状態は、植物にとっては「余命を全うしている状態」に過ぎません。
増やすことを目的とするならば、必ず「茎の節」がついている状態でカットすることが絶対条件になります。


節にある白い線や成長点の見分け方
「節(ふし)が大事なのはわかったけど、緑色の茎のどこが節なの?」と疑問に思う方も多いはずです。
ここを間違えてカットしてしまうと、せっかくの挿し木も台無しになってしまいます。
茎をよーく観察してみてください。竹の節のように、茎の周りをぐるっと一周するような「環状の線(跡)」が入っている部分はありませんか?
これが、以前に葉っぱがついていた跡であり、ここが「節」です。
モンステラの茎は、この節と、節のないツルッとした部分(節間)が交互に連なっています。
成長点のサインを探そう
さらに詳しく見ると、その節のラインのすぐ近くに、以下のような特徴が見つかるはずです。
- 少し膨らんでいるポチッとした突起: これが将来、気根が出てくる場所です。
- 白っぽい、または薄緑色の小さな膨らみ: これが「成長点(腋芽)」で、ここから新しい茎と葉っぱが出てきます。
- 茎に入る白いライン(斑入りの場合など): 茎に縦に入っている白い線は、その延長線上にどのような葉が出るかを予言していることもあります。
この「節」の部分には、植物ホルモンであるオーキシンなどが集まりやすく、発根や発芽の指令塔となる場所です。
カットする際は、この重要なエリアを傷つけないように、しっかりと位置を確認してからハサミを入れるようにしましょう。


株分けで切る位置と節の重要性
親株から増やすための茎を切り出すとき(剪定や株分け)、どこにハサミを入れるかが運命の分かれ道です。
基本のルールは、「節と節のちょうど中間(節間)を切る」ということです。
なぜ節のギリギリで切ってはいけないの?
「無駄な茎を残したくないから」といって、節のすぐ近くでカットしてしまうと、以下のようなリスクがあります。
- 枯れ込み(ダイバック): 植物の茎を切断すると、切り口から数ミリ〜数センチは細胞が壊死して枯れ込みます。節ギリギリで切ると、この枯れ込みが成長点まで到達してしまい、芽が出なくなる恐れがあります。
- 腐敗の防波堤: 万が一、切り口から雑菌が入って腐り始めたとき、節までの距離が長ければ、腐敗が節に到達する前に気付いて対処(再カット)できる時間を稼げます。
ですので、切り口から節までは、少なくとも2cm〜3cm、できればもっと余裕を持って茎を残しておくのが、成功率を上げるための保険になります。
「ちょっと茎が長すぎるかな?」と思うくらいでちょうど良いんです。
水差しをする際の切る場所のポイント
実際に水差し用にカットする際の実践的なポイントをお伝えします。道具選びも重要です。
1. 道具は清潔に
ハサミは必ずアルコール消毒するか、火で炙って消毒したものを使ってください。また、切れ味の悪いハサミで「グニュッ」と押しつぶすように切ると、茎の導管(水の通り道)が潰れてしまい、水を吸えなくなるどころか、潰れた組織から腐敗が始まってしまいます。
カッターナイフや剪定バサミを使い、スパッと鋭利に切断するのが理想です。
2. 切り口の処理(キュアリング)
切った直後の茎からは、樹液が出ています。
このまま水に入れると、樹液が水に溶け出して水質を悪化させたり、雑菌の餌になったりします。
そこでプロも行うテクニックが「キュアリング(乾燥処理)」です。
切り口を半日〜1日ほど、直射日光の当たらない風通しの良い場所で乾かしてみてください。
そうすると、切り口に「カルス」というカサブタのような薄い膜ができ、細菌の侵入を防ぐバリアになります。
気根なしの茎は特に腐りやすいので、このひと手間を加えるだけで成功率がグッと上がりますよ。



頭では分かっていても、大切に育てたモンステラにハサミを入れる瞬間って、何度やってもドキドキしますよね。
私も最初は「本当にここを切って大丈夫!?」と手が震えてしまい、結局切り口がガタガタになってしまったことがあります(汗)。
思い切りよくスパッといくのが、結果的に植物への一番の優しさになりますよ。


モンステラの増やし方は「水差し」もおすすめ
モンステラの増やし方には、土に直接植える「挿し木(土挿し)」や、湿らせたミズゴケで包む「茎伏せ」など、いくつかの方法があります。
それぞれにメリットがありますが、初心者の方や、「とにかく失敗したくない!」という方に私が一番おすすめしたいのが、今回ご紹介している「水差し(水耕栽培)」です。
水差しの最大のメリットは「見える化」
土に植えてしまうと、土の中で根っこが出ているのか、それとも腐ってしまっているのか、掘り返してみるまで分かりません。
気になって何度も抜いて確認してしまうと、それがストレスになって植物が弱ってしまうこともあります。
その点、透明なガラス瓶を使った水差しなら、毎日横から眺めるだけで発根の様子が丸わかりです。
「あ!白い点が出てきた!」「根が1センチ伸びた!」という日々の変化をリアルタイムで観察できるのは、水差しならではの醍醐味。
この「生きてる!」という実感は、植物を育てるモチベーションにも繋がりますし、インテリアとして飾っても涼しげでおしゃれですよね。
初心者が挿し木を水差しで増やす方法は?
それでは、ここまでのポイントを踏まえて、実際に気根なしのモンステラを水差しで増やす手順をステップ・バイ・ステップでまとめます。
| STEP 1 茎の選定とカット |
健康な節(ふし)が最低でも1つ含まれるように茎を選びます。清潔なハサミを使い、節から上下に数センチ余裕を持たせてスパッと切断します。 |
|---|---|
| STEP 2 下葉の処理 |
水につかる部分に葉っぱがついていると、そこから水が腐りやすくなります。一番下の葉は切り落とし、茎だけの状態にします。上の葉は、蒸散(水分の蒸発)を防ぐために、半分に切って小さくするのも有効なテクニックです。 |
| STEP 3 切り口の乾燥 |
切った茎を日陰に置き、半日ほど乾かします。切り口が乾いてサラサラになればOKです。 |
| STEP 4 水への投入 |
きれいに洗った透明な容器に水を入れ、茎を挿します。この時、節の部分がしっかりと水に浸かるように水位を調整します。ただし、葉の付け根(葉柄の分岐点)まで水没させないように注意してください。そこは腐りやすいポイントです。 |
| STEP 5 置き場所 |
直射日光の当たらない、明るい日陰(レースカーテン越しなど)に置きます。風通しが良い場所がベストです。エアコンの風が直接当たる場所は乾燥しすぎるので避けましょう。 |
これでスタートラインに立ちました!あとは、かわいい根っこが出てくるのを信じて、日々のケアを行っていきましょう。
次の章では、具体的な管理のコツについてお話しします。
モンステラの挿し木を気根なしで管理するコツ


さて、ここからは実際に水差しを始めた後の「毎日の管理」や、もしトラブルが起きた時の「レスキュー方法」について詳しくお話しします。
気根なしの挿し木は、いわば「体力がない状態」で戦っているようなもの。
私たちが環境を整えて、彼らが根を出すことに集中できるようにサポートしてあげることが成功の鍵になります。
気根なしの挿し木はいきなり土に植えても平気?


「水差しは水換えが面倒だから、切ってすぐに土に植えちゃダメなの?」と思う方もいるかもしれません。
結論から言うと、気根がない状態での「いきなり土挿し」は、かなりリスクが高いのでおすすめしません。
理由は大きく2つあります。
- 吸水能力の問題: 根がない状態では、土の粒子に含まれる微細な水分を吸い上げる力が弱いです。土が乾いていれば脱水して枯れてしまい、逆に土を湿らせすぎると、今度は呼吸ができずに切り口から腐ってしまいます。水の中なら、浸透圧の原理で比較的楽に水分を取り込めるのですが、土ではそれが難しいのです。
- 雑菌の問題: 土の中には、目に見えない無数の細菌やカビが存在しています。切り口という「大きな傷口」を開いたままの茎を土に埋めるのは、傷口を泥の中に突っ込むようなもの。抵抗力の弱い挿し穂は、あっという間に菌に侵入されてしまいます。
まずは清潔な水(水差し)か、殺菌作用のあるミズゴケを使って十分に根を出させ、体力をつけさせてから土に植え替えるのが、遠回りのようで一番確実な安全ルートかなと思います。
茎だけなら水差しより茎伏せがおすすめ
もし、増やしたいモンステラが「葉っぱが全くなくて、茎(節)だけの棒のような状態」なら、水差しよりも「茎伏せ(くきふせ)」という方法が断然おすすめです。
葉がない茎(茎伏せ用の茎)を水にドボンと沈めてしまうと、植物自体が呼吸困難になりやすく、高い確率で腐ってしまいます。
また、葉がないため、蒸散による水の吸い上げポンプも働きません。
そんな時に活躍するのが「水苔(みずごけ)」です。
水で戻して硬く絞ったミズゴケの上に、茎を横向きに寝かせ(半分くらい埋めるイメージ)、湿度を保って管理する方法を茎伏せと言います。
茎伏せなら、茎の下半分は湿ったミズゴケに触れて水分を確保しつつ、上半分は空気に触れているので呼吸もバッチリです。
モンステラは本来、地面を這うように伸びる性質があるので、この横向きの状態はとても自然なんですね。
葉がない茎から増やすなら、迷わず茎伏せを選んでください。
失敗を防ぐおすすめの容器と水換え頻度


水差し成功の8割は「水質の維持」にかかっていると言っても過言ではありません。
ここで手を抜くと、あっという間に水が腐敗し、茎まで溶けてしまいます。
おすすめの容器
口が広く、底まで洗いやすい「透明なガラス容器」や「プラスチックカップ」がベストです。
口が狭いおしゃれな花瓶は、空気が淀みやすく、また内側を洗うのが難しいため、菌の温床になりやすいです。
ジャムの空き瓶や、使い捨てのプラカップでも十分ですよ。むしろ、汚れたらすぐに交換できるプラカップは衛生的で優秀です。
水換えの頻度(絶対厳守!)
- 夏場(25℃以上): 毎日、必ず全交換してください。
- 春・秋: 2日に1回、最低でも3日に1回は交換します。
- 冬場: 3〜4日に1回程度でも大丈夫ですが、水温が下がりすぎないように注意が必要です。
特に気根なしの場合、切り口から植物の成分が溶け出しやすく、水が傷むスピードが早いです。
「水がなんとなく白く濁っている」「少しトロッとしている」「嫌な臭いがする」これらは全て危険信号。バクテリアが爆発的に増殖しています。
こうなる前に、こまめに水を替えて、その都度容器の内側もしっかりスポンジで洗う習慣をつけましょう。
水差し時の気根は水につけるべきか?
「気根なし」がテーマですが、もし茎に小さな気根がちょこっと残っている場合や、途中から気根のようなものが伸びてきた場合はどうすれば良いでしょうか?
結論としては、「新しい気根や短い気根なら、水につけてしまってOK」です。
気根は環境に合わせて役割を変えられる器用な器官です。水につかると、白くて枝分かれした「水中根」へと変化し、水分をぐんぐん吸収してくれます。これは挿し木にとって強力な助っ人になります。
ただし、親株についていた時にすでに長く伸びていて、表面が茶色く木質化(木の皮のように硬くなっている)した古い気根は、水につけると適応できずに腐ってしまうことがあります。
触ってみて中身がスカスカだったり、水につけて数日でドロドロしてきたりした場合は、その気根は根元からカットしてしまいましょう。
腐った気根を放置すると水質が悪化して本体までダメにしてしまいます。
成功率を上げるメネデールの効果的な使い方
「少しでも成功率を上げたい」「早く根を出したい」という方におすすめなのが、園芸用の活力剤「メネデール」です。
メネデールは肥料(チッ素・リン酸・カリ)ではなく、植物のサプリメントのようなもの。
主成分の「二価鉄イオン」が、切り口のイオンバランスを整えて水分吸収を助けたり、光合成に必要な葉緑素の生成をサポートしたりしてくれます。
肥料をあげてしまうと、根がない植物には負担が大きすぎて逆に枯れてしまいますが(肥料焼け)、メネデールならその心配はありません。
効果的な使い方
水換えのたびに、新しい水にメネデールを規定量(約100倍希釈、水500mlならキャップ半分くらい)混ぜて使います。
私自身の経験でも、真水だけで管理するよりも、メネデール水を使った方が水の濁りが少なく、発根までのスピードが数日〜1週間ほど早まる実感があります。
「お守り」として一本持っておくと心強いですよ。
密閉管理で発芽と発根を早めるコツ
特に「茎伏せ」をする場合や、部屋の湿度が低い時期(冬の乾燥する時期など)におすすめな裏技が「密閉管理(保湿)」です。
植物は葉っぱから常に水分を蒸発させていますが、根がない状態では水の供給が追いつきません。
そこで、容器ごと透明な袋に入れたり、ラップをふんわりとかけたりして、周囲の湿度をほぼ100%に近い状態にしてあげるのです。
こうすると、植物は蒸散を防ぐためのエネルギーを使わずに済み、その余ったパワーを全て「発根・発芽」に回すことができます。
この効果は絶大で、何ヶ月も変化がなかった茎が、密閉した途端に1週間で芽動き出すこともあります。
ただし、ずっと閉め切っていると空気が淀んでカビが生える原因になるので、1日に1回は袋を開けて「換気」をしてあげてくださいね。
挿し木中に葉っぱが黄色くなる原因と対処法


水差しをしていて一番ドキッとするのが、葉っぱが黄色く変色してくる現象ですよね。
これには主に2つのパターンがあります。
1. 生理現象(新陳代謝)の場合
植物は、新しい根や芽を作るために莫大なエネルギーを使います。
根がない状態では外部からエネルギーを取れないため、自分の一番古い葉っぱ(一番下の葉)にある養分を回収して、成長点に送ろうとします。
その結果、下の葉が黄色くなって枯れ落ちることがあります。これは「身を削って次世代を残そうとする」尊い行動なので、茎さえしっかりしていれば問題ありません。黄色くなった葉はカットしてあげましょう。
2. 腐敗によるトラブルの場合
問題はこちらです。
茎の切り口が黒ずんで腐り始めると、導管が詰まって水分が上に上がらなくなります。
その結果、葉全体が黄色く変色し、ハリがなくなり垂れ下がってきます。
もし茎の切り口が黒かったり、ヌルヌルしていたり、嫌な臭いがしたりする場合は、すぐに処置が必要です。次の項で詳しく解説します。
挿し木で失敗する主な原因と対処法
挿し木の失敗原因のナンバーワンは、やっぱり「細菌による腐敗(茎が腐る)」です。
切り口から菌が侵入し、組織をドロドロに溶かしてしまう症状です。
茎が黒くなった時の緊急処置
もし茎の端が黒く変色していたら、放置しても自然治癒することはありません。
腐敗は癌のように進行し、健康な部分まで侵食していきます。
以下の手順で外科手術を行ってください。
- 腐敗部分の切除: 黒い部分だけでなく、その少し上の「健康な緑色の部分」も含めて、大きめにバッサリと切り落とします。少しでも菌が残っていると再発するからです。
- 消毒: 切り口を清潔な流水でよく洗います。
- 乾燥: 再び切り口を半日以上しっかり乾燥させ、カサブタを作らせます。
- 再スタート: 新しい水(できればメネデール入り)か、心機一転して「清潔なミズゴケ」を使った茎伏せに切り替えて様子を見ます。
早期発見ができれば、復活のチャンスは十分にあります。毎日観察して、「おや?」と思ったらすぐに対応するのが、モンステラを救う唯一の道です。



私も夏場に油断して水換えをサボり、茎をドロドロに溶かしてしまったことがあります。
あの時の水の嫌なニオイと、ヌルッとした感触は今でも忘れられません…。
泣く泣く黒い部分を切り落としましたが、そこから心を入れ替えてケアしたら、ちゃんと復活してくれました!
だから、もし黒くなっても諦めないでくださいね。
斑入りモンステラの増やし方と注意点
最近、白や黄色の模様が入った「斑入り(ふいり)モンステラ」が大人気ですが、気根なしで増やす場合は普通のモンステラよりもさらに注意が必要です。
斑入りの白い部分は葉緑素を持たないため、光合成ができません。
つまり、普通の緑色のモンステラに比べて基礎体力が低く、成長も遅いのです。
気根なしの状態だと、その体力のなさが「腐りやすさ」に直結します。
斑入りを増やす場合は、水差しよりも、殺菌作用があり腐りにくい「ミズゴケ」を使った管理の方が安全性が高いです。
また、強い光に当てると白い部分(葉焼け)が茶色く焦げやすいので、柔らかい光の場所で、過保護なくらい丁寧に扱ってあげてください。
「高級な斑入りモンステラを切ったら全部溶けてしまった…」という悲劇を防ぐためにも、慎重にいきましょう。
水挿しから土への植え替え時期の目安
毎日水を替えて、ついに白い根っこが生えてきた!となると、嬉しくてすぐに土に植えたくなりますよね。
でも、ここが最後の我慢のしどころです。
水の中で育った根っこは「水中根」といって、水中の酸素を取り込むのに特化した構造をしており、乾燥にはめっぽう弱いです。
これをいきなり乾いた土に植えると、環境の変化についていけずに枯れてしまうことがあります。
ベストな植え替えのタイミング
根がチョロっと1本出たくらいでは早すぎます。太い根が5cm〜10cm以上伸び、さらにその根から「もやし」のような細かい根(二次根・側根)がたくさん枝分かれして出てくるまで待ちましょう。
根の量が十分に増え、まるで「ヒゲ」のようにモジャモジャになった状態であれば、土に植え替えても水分をキャッチできる確率が格段に上がります。
まとめ:モンステラの挿し木を気根なしで成功させるポイント
ここまで、気根なしのモンステラを挿し木で増やす方法について、かなり詳しくお話ししてきました。
最初は「気根がないとダメなんじゃないか」と不安だった方も、具体的なメカニズムや対処法を知ることで、「これなら私にもできそう!」と思っていただけたのではないでしょうか。
最後に、成功のための超重要ポイントをもう一度おさらいしておきます。
- 気根なしでも大丈夫: 「節」さえあれば、時間はかかるが必ず発根する。
- 清潔が命: 水差しなら、水は毎日換えて細菌の繁殖を防ぐ。
- 適材適所: 葉があるなら「水差し」、茎だけなら「茎伏せ」を選ぶ。
- 焦りは禁物: すぐに土に植えず、根がモジャモジャになるまでじっくり待つ。
植物の成長は、時に私たちの思い通りにはいかないこともあります。
でも、毎日水を替え、様子を観察し、小さな変化に一喜一憂する時間は、何物にも代えがたい豊かな時間です。
ある日突然、切り口から小さな白い根っこがポチッと顔を出した時の感動は、何度経験してもたまりませんよ!
ぜひ、あなたの手でモンステラの新しい命を繋いでいってくださいね。この記事が、その第一歩の助けになれば本当に嬉しいです。









