モンステラの間引き剪定!失敗しない時期と切り方のコツを徹底解説

モンステラの間引き剪定!失敗しない時期と切り方のコツを徹底解説

こんにちは!「観葉植物の育て方ナビ」運営者のmomoです。

おしゃれなインテリアグリーンとして不動の人気を誇るモンステラ。切れ込みの入った大きな葉っぱは南国の雰囲気たっぷりで、お部屋にあるだけで癒やされますよね。

でも、愛情を込めて育てているうちに「気づいたら巨大化して、リビングを圧迫している…」「四方八方に茎が伸びて、バランスが悪くなってしまった」なんてお悩み、抱えていませんか?

モンステラは非常に生命力が強い植物なので、放っておくと驚くスピードで成長します。

嬉しい反面、伸びすぎた茎や密集した葉っぱをどう整理すればいいのか、初心者の方にはハードルが高く感じるかもしれません。

「モンステラの間引きはどうやるの?」「剪定のタイミングはいつがベスト?」「失敗して枯らしたくない!」と、不安な気持ちで検索してこの記事にたどり着いた方も多いはずです。

実はモンステラは、正しい位置と時期さえ守れば、ハサミを入れることでより健康的に、そして自分好みの美しい形に仕立て直すことができるんです。

徒長してひょろひょろになった株や、バランスの悪くなった姿も、適切な「切り戻し」や「間引き」を行うことで、見違えるように整います。

さらに、切った枝を使って「水挿し」などで新しい株を増やす楽しみも待っていますよ。

この記事では、モンステラを長く美しく楽しむための剪定テクニックを、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。

成長点の見極め方や、邪魔な気根の処理、樹液への安全対策まで、私が実際にやっている方法を交えてお話ししていきますね。

この記事でわかること
  • モンステラの「間引き剪定」と「切り戻し剪定」の違いと具体的な使い分け
  • 失敗を防ぐための最適な剪定時期(5月〜7月)とその理由
  • 成長点の位置を正確に見極めた、正しいハサミの入れ方と位置
  • 切った枝や茎を無駄にせず活用する、水挿しや茎伏せでの増やし方
目次

モンステラの間引き剪定の基礎知識

モンステラの間引き剪定の基礎知識

ハサミを持って実際に作業を始めるその前に、まずはモンステラという植物の仕組みを少しだけ勉強しておきましょう。

「なんとなく邪魔だから」という理由で適当な場所を切ってしまうと、そこから枯れ込んでしまったり、二度と新芽が出てこなくなったりする失敗につながります。

基礎知識をしっかり押さえておけば、自信を持って剪定できるようになりますよ。

観葉植物としての特徴と管理

モンステラ(Monstera)は、熱帯アメリカの深いジャングルに自生する、サトイモ科のつる性植物です。

現地では、薄暗い熱帯雨林の中で、大きな樹木の幹に「気根」と呼ばれる根を張り付かせ、太陽の光を求めて上へ上へとよじ登りながら成長しています。これを「着生植物」と呼びます。

この「つる性」という性質が、家庭で育てる際にも大きく影響します。

自立するための太い幹を持たず、周囲のものに寄りかかりながら茎を長く伸ばしていくため、鉢植えでは支柱がないと横に広がったり、垂れ下がったりしやすいのです。

また、成長スピードも非常に早く、環境が整えば1年で数十センチも伸びることがあります。

最大の特徴である「葉の切れ込み(フェネストレーション)」は、現地の強い雨風を受け流したり、上にある葉が下の葉への光を遮らないように進化したものだと言われています。

お家で管理する際も、この美しい葉を維持するためには、適切な日当たりと風通しが欠かせません。しかし、日本の住宅事情では光量が不足しがちだったり、鉢の中が蒸れてしまったりすることも。

そこで、植物の健康を保つための外科手術として、今回ご紹介する「間引き剪定」や「切り戻し剪定」という管理作業が必要不可欠になるのです。

ヒメモンステラも同様に扱う

「私が育てているのは、葉っぱが小さい『ヒメモンステラ』なんだけど、この記事のやり方で大丈夫?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。

一般的に流通している大きな「モンステラ・デリシオーサ」と、小ぶりでつるが細い「ヒメモンステラ(モンステラ・アダンソニーなど)」は、品種としては別物ですが、植物としての構造や生理機能はほとんど同じです。

どちらも節(フシ)を持ち、そこから気根や葉を出しながら成長していきます。

結論から言うと、間引き剪定や切り戻し剪定の基本的な考え方、切るべき位置、適した時期などは全く同じです!

ヒメモンステラの方が成長が早く、つるがどんどん伸びて絡まりやすい傾向があるため、むしろこまめな剪定が必要になるかもしれません。

サイズ感が違うだけで、やるべきことは共通していますので、ヒメモンステラ派の方も安心してこの記事を参考にしてくださいね。

「切り戻し剪定」と「間引き剪定」の違い

園芸用語にはいろいろな言葉がありますが、モンステラの管理において「切り戻し剪定」と「間引き剪定」は、目的によって明確に使い分ける必要があります。

ここをごっちゃにしてしまうと、「形を整えたかったのに、スカスカになってしまった」なんてことになりかねません。

目的による使い分けと定義

用語 目的 主な作業内容
間引き剪定 環境改善・密度調整 混み合って重なり合った葉を根元から取り除く作業です。株全体のサイズ(高さや幅)は変えず、葉の枚数を減らすことで「風通し」と「日当たり」を良くし、病害虫の発生を防ぐのが狙いです。
切り戻し剪定 サイズダウン・仕立て直し 伸びすぎた茎そのものを途中で切断する作業です。株の高さを物理的に低くしたり、横への広がりを抑えたり、徒長した部分をリセットして形を作り直すのが狙いです。

イメージとしては、「葉っぱが混み合ってジャングル状態だな」と思ったら間引き、「天井につきそう!邪魔!」と思ったら切り戻し、という感じです。もちろん、両方を同時に行うこともありますよ。

茎がひょろひょろに育つ原因

モンステラ 茎がひょろひょろに育つ原因

モンステラを室内で長く育てていると、茎が細長く「ひょろひょろ」と頼りなく伸びてしまい、葉っぱと葉っぱの間隔(節間)が間延びしてしまうことがあります。

これは「徒長(とちょう)」と呼ばれる現象で、主な原因は日照不足です。

モンステラは耐陰性(暗さに耐える力)がある植物ですが、本来は日光が大好きです。

光が足りない場所に置かれると、植物は「もっと光を浴びなきゃ!」と必死になり、茎をどんどん伸ばして光を探そうとします。

その結果、茎ばかりがヒョロヒョロと伸びて、葉が小さくなったり、切れ込みが入らなくなったりしてしまうのです。

残念ながら、一度徒長してしまった茎が、後から太く元通りになることはありません。

見た目が悪いだけでなく、株自体が弱っているサインでもあります。

この場合は、思い切って徒長した部分を切り戻して、日当たりの良い場所で管理し直し、太くて健康な新芽を出させる「仕立て直し」が最も効果的な解決策になります。

間引き剪定の最適な時期・タイミング

モンステラの剪定において、最も重要なのが「いつ切るか」というタイミングです。

これを間違えると、最悪の場合、株を枯らしてしまう原因になります。

ベストなタイミングは、ズバリ5月から7月の成長期です。

もっと広げると春から秋(4月〜9月頃)も可能ですが、梅雨時期から初夏にかけてがゴールデンタイムと言えます。

なぜこの時期が良いのかというと、気温が20℃〜25℃くらいになるとモンステラの細胞分裂が活発になり、生育が最も旺盛になるからです。

この時期に剪定を行えば、切った傷口(切り口)がすぐに乾いてカルス(治癒組織)が形成されやすく、細菌が入るリスクが減ります。

また、植物自体の体力が有り余っているため、切られた刺激で新しい芽をすぐに出してくれます。

日本の高温多湿な夏は、熱帯生まれのモンステラにとっては「故郷に近い過ごしやすい季節」なんですね。

冬の作業は枯れる原因になる

逆に、冬場の剪定は絶対に避けてください。11月から3月頃、気温が15℃を下回ると、モンステラは成長を緩やかにし、10℃以下になるとほぼ成長が止まる「休眠期」に入ります。

休眠中のモンステラは、水を吸い上げる力も、傷を治す力も極端に低下しています。

そんな状態で葉を減らしたり茎を切ったりすると、どうなるでしょうか?

  • 根腐れのリスク増大:葉が減ることで蒸散(葉から水分を出すこと)が減り、鉢の中の土がいつまでも乾かなくなって、根が腐りやすくなります。
  • 腐敗の進行:切り口がいつまでも乾かずジメジメした状態が続き、そこからカビや細菌が侵入しやすくなります。切り口から黒く変色し、その腐敗が茎全体に広がって株そのものが枯死するケースが後を絶ちません。

注意:もし冬に枯れて茶色くなった葉を見つけた場合は、それはもう光合成をしていないので、見つけ次第取り除いてOKです。ただし、緑色の生きている部分は絶対に切らないように我慢しましょう。

冬の間は「見守る」ことに徹して、暖かくなる春を待ってからハサミを入れるのが、モンステラへの一番の愛情ですよ。

成長点はどこにある?正しい場所の確認

さて、いざ切ろうとした時に、モンステラの茎のどこを切ればいいのか迷いますよね。ここで絶対に知っておかなければならないのが、「節(ふし)」「成長点(せいちょうてん)」の存在です。

モンステラの茎をよく観察してみてください。竹のように、茎の周りをぐるっと一周する線が入っている部分がありますよね?これが「節」です。

そして、その節のすぐ上あたりをよーく見ると、少しポコッと膨らんでいる小さな突起や、丸い目のような部分が見つかるはずです。これが「成長点(または芽点)」です。

節・成長点のイメージ
節・成長点のイメージ

植物の新しい芽や根は、魔法のようにどこからでも出てくるわけではありません。必ずこの「成長点」から発生します。

つまり、成長点が含まれていない茎(節と節の間のつるんとした部分)だけを残しても、そこからは絶対に新しい芽は出ないのです。

剪定をする前には、必ず茎を指でなぞりながら、「ここに節があるな」「ここに成長点があるな」と確認する癖をつけましょう。

これさえ分かれば、剪定は成功したも同然です!

剪定はどこを切るのが正解か

モンステラ 剪定はどこを切るのが正解か

成長点の位置が分かったら、具体的にハサミを入れる「ライン」を決めましょう。

目的によって切る位置が異なりますが、基本のルールはシンプルです。

失敗しない切断ポイント
  • 切り戻し(茎を切る)の場合:
    残したい「節」の1cm〜2cmくらい上で切ります。節そのものを切ったり、節ギリギリで切ったりすると、乾燥して節が死んでしまうことがあるため、少し「余白」を残して切るのがコツです。
  • 間引き(葉だけ減らす)の場合:
    不要な葉の「葉柄(ようへい)」の付け根、茎から分岐しているギリギリのところ、または株元の地際から切ります。中途半端に軸を残すと、残った部分が腐って病気の原因になります。

成長点を切るとどうなるか

もし、うっかり「節の下」で切ってしまったり、成長点そのものをハサミで傷つけてしまったりしたらどうなるのでしょうか。

節の下で切った場合、残った茎の先端部分(節間)には成長点がありません。

植物は「ここから先はもう芽が出せない不要な部分だ」と判断し、その部分への水分供給をストップします

すると、切った先端から徐々に茶色く枯れ込んでいきます(枯れ込み)。

運が良ければ下の節で止まりますが、場合によっては腐敗菌が繁殖し、株全体にダメージを与えることもあります。

成長点が含まれている節を残して切れば、数週間後にはその成長点が膨らみ、ツヤツヤした新しい緑色の芽(脇芽)が顔を出します。

この瞬間を見るのが、剪定後の最大の楽しみなんですよね。

「節の上で切る」というルールは、モンステラの未来を守るための絶対条件だと覚えておいてください。

樹液に注意し手袋を着用する

作業を始める前に、必ず準備してほしいものがあります。それはゴム手袋です。

モンステラの葉や茎を切ると、切り口から透明でネバネバした樹液が出てきます。

実はこの樹液には、「シュウ酸カルシウム」という成分が含まれています。

この成分は、顕微鏡で見ると微細な針のような結晶構造(針状結晶)をしていて、植物が虫に食べられないように身を守るための防御システムなんです。

この樹液が人間の皮膚、特に粘膜の薄い部分や傷口に触れると、チクチクとした痛みやかぶれ、炎症を引き起こすことがあります(出典:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」)。

これはアレルギー反応ではないので誰にでも起こりうる症状です。

安全のための対策
  • 作業中は必ずゴム手袋や園芸用手袋を着用し、直接樹液に触れないようにする。
  • もし手についてしまったら、こすらずに流水でよく洗い流す。
  • 小さな子供やペット(犬・猫)が、切り落とした葉や茎を誤って口に入れないよう、作業中とゴミの処理には細心の注意を払う。

美しいモンステラですが、こうした一面もあることを知っておくことで、より安全に付き合っていくことができますね。

モンステラの間引き剪定の実践編

モンステラの間引き剪定の実践編

基礎知識がバッチリ入ったところで、いよいよ実践編です!実際にハサミを入れて、モンステラをスッキリさせていきましょう。

具体的な手順や、よくあるトラブル別の対処法も詳しくご紹介します。

間引き剪定の基本的なコツ

ハサミを持つと、つい「ここも、あそこも」と切りたくなってしまうものですが、いきなりバサバサ切るのはNGです

まずは一歩下がって、株全体をいろんな角度から眺めてみましょう。

「どの葉を残せばバランスが良いか」「どの葉が邪魔をしているか」をシミュレーションすることが大切です。

間引き剪定の成功のコツは、「風の通り道を作る」というイメージを持つことです。

モンステラは葉が大きいので、重なり合うと内側に空気が滞留しやすくなります。

特に株の中心部分が混み合っていると、湿気がたまってカイガラムシやハダニなどの害虫が発生する温床になりがちです。

「向こう側の景色が少し透けて見えるくらい」を目指して、全体のボリュームの2〜3割程度を減らす気持ちで進めていきましょう。

一度に全ての葉を無くしてしまうと、光合成ができなくなって株が弱ってしまうので、迷ったら「残す」選択をするのも勇気ですよ。

混み合った葉だけを整理する方法

葉が重なり合っている場合、どちらを切るべきか非常に迷いますよね。

私が普段行っている「切るべき葉の優先順位」をご紹介します。この基準に従えば、大きく失敗することはありません。

優先度 対象の葉 切るべき理由
最優先 変色した葉・病気の葉 黄色や茶色に変色した葉は、もう光合成能力を失っており元には戻りません。また、病害虫がついている葉は他の健康な葉への感染源になるため、見つけ次第即座にカットします。
下の方の古い葉 植物は新しい葉にエネルギーを優先的に送ります。下部の古い葉は老化が進んでおり、光合成効率も落ちているため、切ることで新芽へのエネルギー供給を促せます。
内向き・交差する葉 茎の内側に向かって伸びている葉や、他の葉と十字に交差している葉は、日陰を作る原因になります。これらを間引くことで全体の受光効率が上がります。
徒長した茎の葉 ヒョロヒョロと伸びてバランスを崩している茎についた葉は、樹形を整えるためにカットの対象になります。

古い葉っぱを切る時の注意点

下の方にある古い葉を間引くときは、ハサミを入れる位置に注意が必要です。

「葉柄(ようへい)」と呼ばれる、葉を支えている細い茎のような部分の、茎から分岐している付け根ギリギリを狙って切ってください。

葉柄の付け根のイメージ
葉柄をカットする場所

初心者がやりがちなのが、怖がって葉柄を数センチ残してしまうこと。

これをやってしまうと、残った葉柄はいずれ枯れて茶色くなりますが、湿度の高い環境だとそこが腐ってジュクジュクになり、その腐敗がメインの茎(幹)にまで進行してしまう「茎腐れ」の原因になることがあります。

また、切るときは他の茎や気根を傷つけないよう、刃先が細い園芸用バサミを使うのがおすすめです。

さらに、ハサミは使用前にアルコール消毒液や火で炙って消毒しておくと、ウイルス病(モザイク病など)の感染リスクを最小限に抑えられます。

大きくなりすぎたモンステラはどうすればいい?

「買ってきた時はあんなに小さかったのに、今や天井まで届きそう…」「横に広がりすぎて生活動線の邪魔になっている」という場合、ちまちまと葉を間引くだけでは解決しません。

こうなったら、思い切って株のサイズを小さくする「切り戻し(強剪定)」が必要です。

「せっかくここまで育ったのに、切るのは可哀想」と思う気持ち、すごく分かります。

でも、モンステラは室内で管理する以上、人間と共生できるサイズにコントロールしてあげるのも、持ち主の大切な役割です。

しかし、安心してください。モンステラは本当に強健な植物です。

高さの半分くらい、あるいは株元近くまでバッサリ切ってしまっても、根が生きていれば必ず復活します。

むしろ、古くなって間延びした茎をリセットし、低い位置から新しい脇芽を出させることで、葉が密に茂った、がっしりとした美しい樹形に生まれ変わらせるチャンスなんです。

「リフォームする」という前向きな感覚でチャレンジしてみてください。

momo

私も初めて切り戻しをした時は、ハサミを持つ手が震えるほど緊張しました。

「もしこれで枯れたらどうしよう…」と心臓がバクバクしたのを覚えています。

でも、勇気を出して切ってみたら、翌月には可愛い新芽が出てきて、以前よりずっとカッコいい樹形になったんです!

あの時の感動は今でも忘れられません。

切り戻しのやり方とコツ

では、実際に切り戻しを行う手順を詳しく見ていきましょう。焦らずゆっくり進めてくださいね。

STEP
完成形をイメージする

まずは、どのくらいの高さにしたいかを決めます。

新芽は切った位置のすぐ下の節から出てくるので、理想の高さよりも少し低い位置を切断ポイントとして想定します。

STEP
節と成長点を確認する

切断ポイント周辺の茎を観察し、必ず「節」があることを確認します。

節のない部分で切っても芽は出ません。

STEP
節の上で切断する

残したい節の1cm〜2cm上を、清潔でよく切れるハサミやナイフでスパッと切断します。

太い茎の場合はノコギリが必要になることもあります。

切り口は斜めではなく、できるだけ水平にするのが一般的ですが、水がたまらないように少し斜めにするという考え方もあります。

STEP
癒合剤でケアする

モンステラの太い茎を切ると、切り口の面積が大きくなります。

ここから水分が蒸発したり、雑菌が入ったりするのを防ぐために、「癒合剤(ゆごうざい)」を塗ることを強くおすすめします。代表的なものに「トップジンMペースト」などがあります。

癒合剤とは?
人間でいう「液体絆創膏」や「カサブタ代わり」のようなものです。オレンジ色のペースト状のものが多く、塗るとすぐに乾いてゴム状の被膜を作り、傷口を強力に保護してくれます。ホームセンターの園芸コーナーで数百円で手に入りますよ。

徒長した株の仕立て直し

日照不足でヒョロヒョロになってしまった株の場合、その細い茎が後から太くなることはありません。

細い茎の上に大きな葉がつくと、重さを支えきれずに倒れてしまいます。

この場合も、思い切って徒長が始まった部分(茎が細くなり始めた箇所)の下で切り戻しを行うのがベストです。

健全に育っていた太い茎の部分まで戻ってカットし、そこから新しい芽を出させます。

そして最も重要なのが、「切った後の管理場所」です。

同じ場所に置いていては、また同じように徒長してしまいます。

切り戻した後は、レースのカーテン越しの日光がよく当たる、明るい場所に移動させてください。

十分な光を浴びることで、次は節間が詰まった、がっしりとした茎が育ちます。

また、葉を大幅に減らした後は、植物全体の蒸散量が減っています。

今までと同じペースで水やりをすると根腐れしてしまうので、土の表面が乾いてからさらに2〜3日待ってから水を与えるなど、水やりの頻度を少し控えるように調整してくださいね。

なお、徒長した株の仕立て直しについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

伸びすぎたら支柱で支える

モンステラ 伸びすぎたら支柱で支える

間引きや剪定である程度スッキリさせたとしても、モンステラは本来「つる性」の植物です。

自力で直立するのは苦手で、成長するにつれてどうしても重みで横に広がったり、だらんと垂れ下がったりしてしまいます。

そこで、剪定とセットで検討したいのが「支柱」の導入です。

「まだ支柱を立てるほど大きくないかな?」と思っても、早めに支柱を立ててあげることで、株の暴走を防ぎ、理想の樹形にコントロールしやすくなります。

モンステラの自生地であるジャングルでは、彼らは大きな樹木の幹にしがみついて上へ上へと登っています。

実は、この「上に登る」という状態を作ってあげることが、モンステラの葉を大きくし、あの美しい切れ込み(フェネストレーション)を増やすための秘訣でもあるんです。

モンステラにおすすめの支柱タイプ
  • ココヤシ支柱(ココスティック):
    園芸店でよく見かける、茶色の繊維が巻かれた支柱です。見た目がナチュラルでインテリアに馴染みやすく、価格も手頃です。気根が絡まりやすいので、安定感が増します。
  • ヘゴ支柱・モスポール(水苔支柱):
    より本格的な育成を目指すならこちら。保水性が高いため、支柱自体を湿らせることで気根からの水分補給を促せます。葉が巨大化しやすくなります。
  • アイアン・プラスチック支柱:
    デザイン性を重視するなら、細身のアイアン支柱も素敵です。ただし、気根は活着(くっつくこと)しないので、ビニールタイなどで誘引して固定する必要があります。

支柱を立てる際は、根を傷つけないように慎重に鉢の土に差し込み、茎と支柱を「園芸用ビニールタイ」や「麻ひも」で8の字を描くようにふんわりと結びます。

ぎちぎちに締め付けると茎が成長したときに食い込んでしまうので、指一本分くらいの余裕を持たせてあげるのが優しさですよ。

邪魔な気根の処理と切る判断

モンステラを育てていると、茎の節々からヒョロヒョロと茶色い紐のようなものが伸びてきませんか?これが「気根」です。

「見た目がちょっとグロテスクで苦手…」「掃除のときに引っかかって邪魔!」というお悩み、本当によく聞きます。

この気根、切ってしまってもいいのでしょうか?結論から言うと、切ってもモンステラの生命維持にはほとんど影響ありません。

しかし、気根には「空気中の水分を吸収する」「体を支える」という役割があります。

完全に無駄なものではないのです。ご自身のライフスタイルや、目指す株の姿に合わせて、以下の3つの処理方法から選んでみてください。

対処法 メリット デメリット・注意点
① 切る 見た目がスッキリして、モダンなインテリア性を保てる。掃除がしやすくなる。 株を支える力がなくなるため、支柱が必要になる場合がある。一度に全部切るとストレスになるので、数回に分けて切るのがベター。
② 埋める 最もおすすめ!気根を土に誘導して埋めると「地中根」に変化し、水分・養分の吸収力が格段にアップする。株が元気になり、葉が大きくなる。 鉢の中が根でいっぱいになりやすく、根詰まり(根腐れ)のリスクが多少上がるため、適切な植え替えが必要。
③ 這わせる 支柱(モスポール等)に絡ませることで、現地に近い環境を再現できる。葉の切れ込みが深くなり、ワイルドな樹形を楽しめる。 支柱の管理(水やり等)が必要になり、手間がかかる。スペースを取る。

私は基本的に、通路にはみ出して邪魔な気根だけをハサミで元からカットし、鉢の内側に伸びている気根はできるだけ土の中に埋め込むようにしています。

もし気根の処理についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連記事:【SOSサイン】モンステラの気根が黒い!原因と復活法を解説

切った葉っぱは水差しで活用できる?

剪定作業、お疲れ様でした!さて、目の前には切り落とされたモンステラの葉っぱたちが山積みになっているかもしれません。

「これ、捨てるの可哀想だな…」「水に挿しておけば増えるかな?」と思いますよね。

ここで非常に重要なポイントがあります。それは、「節(成長点)がついているかどうか」です。

葉柄だけの場合

間引き剪定などで、葉っぱの根元からカットした場合、そこには「節」がありません。

この葉っぱを花瓶の水に挿しておくと、数週間〜数ヶ月間は枯れずに生き続け、時には切り口から根っこ(発根)が出てくることさえあります。

しかし、残念ながらそこから新芽が出ることは絶対にありません。

成長点がないため、新し茎や葉を作る細胞が存在しないのです。これは海外の園芸用語で「ゾンビ・リーフ(Zombie Leaf)」と呼ばれ、生きているけれど成長はしない状態です。

インテリアとして楽しむ分には素敵ですが、「増やす」ことはできないので注意してくださいね。

節がついている場合

切り戻し剪定などで、太い茎(節)を含んだ状態でカットした枝なら、大成功のチャンスです!

節にある成長点から新しい芽が出て、根も張り、完全な新しい株として増やすことができます。

切った茎の水差しでの増やし方

モンステラ 切った茎の水差しでの増やし方

では、見事に「節」を含んでカットできた枝を使って、水挿し(水耕栽培)で増やしてみましょう。

土を使わないので衛生的ですし、透明なガラス容器に入れれば根が伸びていく様子を毎日観察できるので、初心者の方に一番おすすめの方法です。

水差しの手順と管理方法
  1. 枝の準備:
    切り戻した茎に「節」が最低1つ、できれば2つ以上あることを確認します。気根が少しでもついていると、そこから水中根が出やすいので成功率が上がります。
  2. 葉の調整:
    葉っぱがたくさんついていると、そこから水分が蒸発してしまい、根が出る前に体力を使い果たしてしまいます。大きな葉なら1枚、小さめなら2枚程度を残し、残りはカットしてしまいましょう。
  3. 水に浸ける:
    清潔な容器に水を入れ、茎の「節」の部分がしっかり水に浸かるように入れます。この時、発根促進剤(メネデールなど)を数滴垂らすと、より確実です。
  4. 置き場所と管理:
    直射日光の当たらない、明るい日陰(レースカーテン越しなど)に置きます。水は雑菌が繁殖しないよう、2〜3日に1回(夏場は毎日)交換してください。

順調にいけば、2週間〜1ヶ月ほどで白い根がニョキニョキと出てきます。

根の長さが5cm〜10cmくらい十分に伸びたら、観葉植物用の土に植え替えてあげましょう。

これが「モンステラの子供」の誕生です!

momo

私は剪定した枝をガラスの花瓶に入れて、キッチンの窓辺に並べています。

毎朝コーヒーを淹れながら「根っこ出たかな?」と観察するのが、最高に癒やされる時間なんです。

茎伏せや挿し木での再生方法

剪定をしていると、「葉っぱはついていないけど、節はある太い茎(丸太のような部分)」が余ることがありますよね。

一見するとただの棒切れに見えますが、絶対に捨てないでください!

実はこの茎、エネルギーの塊なんです。「茎伏せ(くきふせ)」というテクニックを使えば、この棒切れから魔法のように赤ちゃんモンステラを誕生させることができます。

茎伏せの手順
  1. 茎の準備:
    茎を節ごとにカットします。1つのブロックに必ず「節(成長点)」が1つ含まれるようにします。
  2. ベッドの準備:
    タッパーやプラスチックの食品トレイなどに、水で戻して絞った「水苔(ミズゴケ)」を敷き詰めます。清潔な赤玉土でもOKです。
  3. 寝かせる:
    茎を水苔の上に横たえます。茎の半分が埋まるくらいのイメージで、成長点(芽が出る部分)が上を向くように置いてください。
  4. 保湿と密閉:
    乾燥が大敵です。霧吹きで湿らせたら、ラップをふんわりかけるか、蓋をして湿度を保ちます(密閉挿し)。
  5. 待つ:
    明るい暖かい場所に置き、水苔が乾かないように管理します。早ければ1ヶ月、遅いと3ヶ月くらいかかりますが、忘れた頃に節から小さな緑の突起(新芽)が出てきます。

葉がない状態からのスタートなので時間はかかりますが、小さな芽が展開して可愛い葉っぱが開いたときの感動はひとしおですよ。

ぜひ、剪定で出た「余り物」でチャレンジしてみてくださいね。

まとめ:モンステラを間引き剪定で美しく整えよう

モンステラの間引き剪定について、基礎から実践、そして切った後の活用法までたっぷりとご紹介しましたが、いかがでしたか?

最初は「ハサミを入れるのが怖い」「失敗したらどうしよう」と不安に思うかもしれません。

でも、モンステラは私たちが思っている以上にタフで、生命力に溢れた植物です。

「適切な時期(5月〜7月)」に「節の上(成長点の上)」で切る。この2つのルールさえ守れば、失敗することはほとんどありません。

むしろ、定期的に剪定を行うことで以下のメリットが生まれます。

  • 風通しが良くなり、病害虫のリスクが減る。
  • 株全体に光が行き渡り、光合成が活発になる。
  • 部屋のサイズに合った、バランスの良い美しい樹形を保てる。
  • 切った枝で新しい株を増やし、グリーンのある生活を広げられる。

伸びすぎた枝を整理することは、モンステラにとってのリフレッシュであり、あなたにとっても快適な空間を取り戻す大切な作業です。

スッキリと整ったモンステラは、今まで以上に部屋のインテリアとして輝いてくれるはずです。

momo
「観葉植物の育て方ナビ」運営者
これまでに20種類以上の観葉植物を栽培してきた経験から、初心者の方へ「育て方」「インテリアグリーンの活用方法」などをわかりやすく情報発信しています。普段はOLをしている20代後半の社会人。
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